日本オラクルは2011年4月12日、IBMホスト上のアプリケーションをオープン化するミドルウエア「Oracle Tuxedo ART 11g R1」(以下、Oracle Tuxedo ART)の提供を開始すると発表した。IBMのTPモニター「CICS」配下で稼働中のアプリケーション、およびJCLバッチプログラムをリホストし、オープン環境で動かすことを可能にする。

 Oracle Tuxedo ARTは2製品から成る。「Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 11g R1」は、CICSアプリケーションおよびJCLバッチプログラムのランタイム環境である。「Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 11g R1」は、このランタイム環境に向けて、IBMホスト上のアプリケーションを移行する機能を備える。

 CICSアプリケーションは、IBMホスト向けのCOBOLで実装されているプログラムを、オープンCOBOLに移行しランタイム環境で動かす。ロジックには手を入れない。IBMの3270ターミナル・エミュレータや、CICSのユーティリティである「BMS(Basic Mapping Support)」も利用可能だ。「オープン環境に移行したCICSアプリケーションは、オラクルのミドルウエアと組み合わせて、SOA(サービス指向アーキテクチャ)環境と連携させるようなことが簡単にできる」(日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部の清水照久 シニアディレクター)。

 IBMホスト上のJCLバッチプログラムは、JCLのジョブ構造や実行フローを引き継ぎながら、シェル・スクリプトに変換しランタイム環境で動かす。バッチジョブの実行状態などを管理するIBM JES2(Job Entry Subsystem 2)と同様の機能も提供する。

 JCLバッチプログラムの自動変換などを担うのが、Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 11g R1である。ソースの依存関係をチェックしたうえで、JCLを変換したり、オープンCOBOLへ変換したりする。IBMホストで利用しているVSAMファイルやDB2を、ISAMファイルやOracle Database 11gに移行する機能も備える。

 製品価格は、Oracle Tuxedo Application Runtime for CICS and Batch 11g R1が239万1300円/Processor(税込み)、Oracle Tuxedo Application Rehosting Workbench 11g R1が461万9600円/Named User Plus(同)。同社のTPモニター「Oracle Tuxedo 11g R1」が別途必要である。

 同社は、パートナーを通じてOracle Tuxedo ARTを提供する。NTTデータと協力し、NTTデータが提供するクラウドサービス「BizXaaS」のマイグレーションサービスでもOracle Tuxedo ARTを利用可能にする計画だ。