米Googleと米司法省(DOJ)はそれぞれ米国時間2011年4月8日、Googleによる米ITA Software買収をDOJが条件付きで認めたと発表した。DOJは、同買収計画が市場競争を大幅に弱める恐れがあったため、航空運賃比較サイトや旅行予約サイトなどの競争環境を保護するための条件を提示したとしている。

 Googleは2010年7月1日に、航空便情報ソフトウエアとサービスを手がけるITAを7億ドルで買収すると発表(関連記事:Google、航空券情報ソフトのITAを7億ドルで買収へ)。これを受け米Expedia、米KAYAK.com、米Sabre Holdings、米Farelogixの4社は10月、オンライン旅行予約サービスがGoogleに独占されると主張して反対団体「FairSearch.org」を結成し、買収を阻止するよう米司法省に働きかけていた。12月には米Microsoftを含む4社がFairSearch.orgに加わっている(関連記事:GoogleのITA買収に反対する旅行大手の団体にMicrosoftが参加)。

 ITAのソフトウエアを利用すると、フライトスケジュールや運航路線、運賃などの情報を管理し、これらの情報をまとめて検索できる。航空業界や旅行業界で広く採用されており、航空便オンライン予約の市場では65%のシェアを持っている。Microsoftの検索エンジン「Bing」にも採用されている。

 DOJが提示した条件では、Googleに対してITAの「QPX」ソフトウエアを適正な金額で他のサイトにライセンス供与すること、近年の投資規模を下回ることなく同ソフトウエアの研究開発を継続すること、ITA顧客のデータ情報が社内で無断使用されないようファイアウォールを設置することなどを義務づけている。

 GoogleはDOJの条件付き承認を受けて、ITAの既存顧客の契約を2016年まで更新した。また新規顧客も含めてQPXソフトウエアのライセンスを、2016年まで公平で合理的かつ非差別的な条件のもとで供与することで合意した。同社は可能な限り早く買収手続きを完了し、従業員と製品の統合に取り組むとしている。

 なお消費者保護団体の米Consumer Watchdogは、DOJの条件がとてつもない競争阻害の防止にはなるものの、インターネットにおけるGoogleの独占力を考えると、最終的に同社が旅行検索業界を支配し、チケット価格を引き上げる可能性があると、懸念を示している。

[発表資料(Googleの公式ブログ)]
[発表資料(DOJのプレスリリース)]
[発表資料(Consumer Watchdogのプレスリリース)]