写真●NEC製のイオンエンジンを搭載していたJAXAの小惑星探査機「はやぶさ」(JAXA提供)
写真●NEC製のイオンエンジンを搭載していたJAXAの小惑星探査機「はやぶさ」(JAXA提供)
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 NECは2011年4月8日、米エアロジェット ジェネラルと共同で、人工衛星向けのイオンエンジンの動作試験を米国において実施、動作に成功したことを発表した。同エンジンは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が2003年5月に打ち上げた国産の小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C、写真)に搭載されていたものと同型。

 動作試験を実施したのは米国時間4月6日で、アメリカ政府関係者やアメリカ航空宇宙局(NASA)、JAXA、米国の人工衛星製造メーカーなどが立会ったという。NECでは、今回の試験成功について「今後の米国における販売活動を強く後押しする」きっかけになると評価している。

 NECとエアロジェット・ジェネラルは今後、実験の成果を活かしてイオンエンジンの共同開発を加速、静止衛星や深宇宙探査機向けの推進装置として、日米を中心とした国際衛星市場に対して販売活動を展開するとしている。

 なお、「はやぶさ」が搭載していた同イオンエンジンは、JAXAの委託を受けてNECが製造したもので、推進力を生み出すイオンの生成にマイクロ波を用いる独自技術を採用している。同社では、マイクロ波を使うことにより従来のイオンエンジンと比べて2倍以上の長寿命と高信頼性を実現しており、これが2010年6月13日の同機の地球への帰還に貢献したという。