写真●トヨタ自動車の友山茂樹 常務役員(左)と日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長(右)
写真●トヨタ自動車の友山茂樹 常務役員(左)と日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長(右)
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 日本マイクロソフトとトヨタ自動車は2011年4月8日、車載情報通信サービス(テレマティクス)やスマートグリッドシステムの開発に関する提携について、国内での説明会を開催した。米国における前日の発表を受けてのもの(関連記事)。説明会には日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長とトヨタの友山茂樹 常務役員が出席し、提携の意義や開発する新サービスについて語った(写真)。

 「トヨタはテレマティクスを基に、クルマと家をつなぐ電力マネジメントサービスの開発を目指している。この情報インフラになるのが、Windows Azureを基に開発するグローバルクラウドプラットフォームだ」。友山常務は、両社で開発するクラウド基盤をこう述べた。「トヨタのテレマティクス技術や電力マネジメント技術と、マイクロソフトのクラウド技術や情報インフラを融合させ、グローバルクラウドを共同で構築する」(同)。

 新サービスの具体例として、友山常務はスマートフォンと連携した電力管理機能を挙げた。電気自動車やプラグイン・ハイブリッド・カーの電池の残量をスマートフォンから確認する、充電の開始時刻をスマートフォンから設定する、燃費の推移や充電スタンドの位置を表示する、といったものだ。さらにサービスの基盤にクラウドを活用することで、「マイクロソフト以外のインターネットのコンテンツプロバイダーと、全世界でコンテンツやサービスを共有しやすくなる。顧客サービスの魅力を、さらに高めることが期待できる」(友山常務)。

 友山常務はマイクロソフトと提携した理由について、「これまでトヨタが開発してきたWindows上の資産をそのまま移行できること」を挙げた。トヨタは1998年に開始した同社初の顧客向け情報サービス「GAZOO」の開発で、マイクロソフト技術を採用した。業務改善支援室長としてGAZOO事業を率いたのが、現社長の豊田章男氏である。その後、2002年にはテレマティクスサービス「G-BOOK」を、マイクロソフトの.NET技術を基に開発した。

 トヨタは現在、GAZOOやG-BOOK向けに、日本、中国、米国などにデータセンターを設置して運用している。これらのデータセンターで稼働するアプリケーションは、順次Windows Azureへ移植する。「トヨタとしては、自前のインフラを持たないようにする」(友山常務)方針だ。

 一方、日本マイクロソフトは今回の提携に合わせ、「Windows Azure上で動く様々なテレマティクスのアプリケーションを作るため、エンジニアの派遣、開発技術の移転、米本社と連携した新サービスの世界展開支援などを担う」(樋口社長)。