東京電力は2011年4月8日、3月14日から実施している計画停電について、今後、原則として実施しない方針であることを正式に発表した。ただし、夏場については「ピーク時の電力供給が大幅に不足する見通し」としており、実際に計画停電なしで夏場を乗り切れるか不透明な部分も残っている。

 東京電力によると、ここ最近で使用された最大電力は、前年比で約20パーセント下回る状況が続いているという。同社では、「震災による企業活動の停滞」と、「ユーザーに呼びかけている節電の効果」が結果に現れていると見ている。

 こうした状況を踏まえ、4月および5月の週別の最大電力を予測したところ、最も小さいと予測される4月9日から15日の週で平均3400万kW、最も大きいと予測される5月28日から6月3日の週でも平均3910万kWとなった。これに対して供給力は3900万から4200万kWの水準を確保できる見通しであるとし、一定の余裕があることから計画停電を実施せずに済むと判断したという。

 問題は夏場、特にピーク時の需要をまかなえるかどうかだが、東京電力ではこれについても「原則不実施」を継続するとしている。同社によれば、現時点において夏場の需給状況は、必要となる最大電力が5500万kW(参考:2010年夏の最大電力は7月23日に記録した5999万kW)なのに対して、供給力が4650万kWと大幅に不足する見通しであるという。

 しかし、供給面の対策として、(1)共同火力を含む火力発電所のさらなる復旧・立ち上げ、(2)ガスタービンなどの緊急設置電源の新設、(3)自家用発電設備の活用、(4)揚水発電の活用---などの対策を講じることと、節電など需要面での対策を組み合わせることで乗り切れるようにしたいとしている。

 需要面での対策では、家庭・業務用・大口それぞれのユーザーに対して、上手な節電のための方策についてのコンサルティングや情報提供、設備点検、需給調整契約への加入勧奨などを積極的に行っていく方針などを明らかにしている。