日本ケーブルラボは2011年4月6日の会見で、ケーブルテレビ大手数社およびKDDIと共同で、放送・通信連携による次世代セットトップ・ボックス(STB)の技術仕様書を作成し標準化したと発表した。2011年秋に試作機による実証実験を行い、2012年にはケーブルテレビ事業者各社が次世代STBを導入して商用サービスを提供できるようにする計画である。

 現行のSTBでは、メーカーごとに機能など詳細仕様が異なっている。次世代STBでは、ハードウエアの仕様などはケーブルテレビ事業者共通の統一仕様とし、すべてのヘッドエンド設備との互換性を保持する。その上でケーブルテレビ事業者各社が要望する個々のサービスは、オープンOSのLinux上で動作するAndroidアプリで実現する。ケーブルテレビ事業者各社は、自分たちに必要なアプリを自由に搭載できる。日本ケーブルラボは、様々なAndroidアプリが市場からボトムアップで提供されることを期待しており、アプリの認定体制の構築も商用化までに検討する。

 このほかの次世代STBの特徴として六つを挙げた。具体的には、「無線LANルーター機能によるスマートフォンやタブレット端末などのデバイスによるケーブル回線を利用したデータサービスの提供が可能」「DLNAサポートによるSTBとデジタル家電の相互接続ができる」「DOCSIS3.0サポートによる通信回線の速度増加とIPv6サポートの実現」「ポータル機能対応によるインターネットテレビを含めた分かりやすい番組表示と高速検索が可能」「テレビ電話対応による医療、安心安全などのホームICTサービスの提供を実現」である。

 日本ケーブルラボは、今回の次世代STBの技術仕様の国際標準化を目指す。STBマーケットの国際市場での拡大を主導する計画を視野に入れている。

 このほかに日本ケーブルラボは今回の会見で、デジタルホームネットワークプロトコルであるDLNAを活用したSTBとデジタル家電との接続のための運用仕様書の策定完了を報告した。この仕様に基づいて開発された機器の相互接続性確認のための実証実験を2011年4月中旬に実施する。その妥当性を確認したうえで、5月に正式な標準規格とする。なお次世代STBの技術仕様書はこのDLNA運用仕様書に基づいており、DLNAによる接続をサポートする。