東日本大震災の復興策を検討している民主党の「地震災害復旧・復興委員会」は、700/900MHz帯を周波数オークションの対象とし、そこで得られた代金を復興財源として活用する案を検討する。具体的には委員会の下に設置した「復興ビジョン検討チーム」で検討する議題の一つとする。検討開始は4月上旬になる見込みである。

 現在国会では、既存の周波数を利用している事業者に対して、新たに利用する事業者が移行費用を負担する制度を盛り込んだ電波法改正案が提出されている。現在再編が近づいている700/900MHz帯はこの制度を利用する前提で議論が進んでいる。総務副大臣である平岡秀夫氏が主催する「周波数オークションに関する懇談会」でも、700/900MHz帯は入札額に制限を設けない周波数オークションの対象外とみられている。

 しかし、復興ビジョン検討チームの事務局を務める岸本周平衆議院議員は、「東日本大震災の発生で状況が一変した」と説明する。「総務省はこれまで、地上デジタル放送への移行に期限を区切っていることや、携帯電話向けの周波数のひっ迫もあり、とにかく新たな周波数割り当てを急ぐ必要があると主張してきた。しかし合理的に考えて、期日通りに全国で地上アナログ放送を停波し、地上デジタル放送へ完全移行するというのは震災の影響で非常に困難になった。ならば700/900MHz帯での周波数オークションの実施も時間をかけて検討できる」(岸本氏)としている。

 総務省に対しては、「委員会および検討チームは、党の政策調査会のメンバーで構成している。ここでの検討結果は党の政策調査会の考えとして、総務省の政務三役に実施をお願いする形になるだろう」という。

<期限を設けて均等化、放送向け周波数は対象外>
 周波数オークション代金の使い道については、通信関連に利用する特定用途と一般的な用途の二種類を想定しているという。通信関連の用途としては、インフラ復興費用および巨額になる次世代技術開発への補助を想定する。一般的な用途としては、今後政府が発行する予定の復興国債の償還に利用する考えである。

 NTTドコモやKDDIがすでに800MHz帯の割り当てを受けていることによる割り当て機会の不均等については、「既存の800MHz帯に10年や15年といった期限を設定し、その期日ごとに周波数オークションを実施すれば不公平ではなくなる」(岸本氏)という。また、こうした期限を設定すると、地上デジタル放送の周波数なども対象になる可能性もあるが、「通信と放送は分けて考えている。携帯電話の周波数を対象と想定している」と説明した。