日本マイクロソフトが提供している「震災復興支援システム」の画面例(同社提供)
日本マイクロソフトが提供している「震災復興支援システム」の画面例(同社提供)
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 クラウドサービスを有効活用して、被災した企業や自治体、また復興を手助けする非営利団体などを支援する動きが広がっている。現地にサーバーなどのハードウエアを設置する必要がなく、早期に、かつ容易に導入できるクラウドならではの利点を生かし、期間限定で無償提供するIT関連企業が続々と現れた。

 特に目立つのは、オンライン会議やグループウエアなどのサービス。情報共有に役立つほか、出社できない従業員が在宅勤務するような場合に活用できる。遠隔地にあるパソコンをリモート操作するツールも提供されている。クラウドサービスの基盤(プラットフォーム)そのものを、開発者向けに提供する企業もある。

 例えばシトリックス・システムズ・ジャパンは、パソコンを遠隔操作できる「GoToMyPC」、オンライン会議などを実現する「GoToMeeting」など3つのオンラインサービスを1年間無償提供する。英語版だが日本語環境でも利用でき、設定や利用の方法を解説する日本語のビデオを用意した。対象は法人・個人を問わず、国内の全てのユーザーが利用可能。申し込みは4月30日まで。

 日本ヒューレット・パッカードも、被災地域の企業、自治体、非営利団体、教育・医療機関などに対して、オンライン会議システム「HP Virtual Rooms」を10月31日まで無償提供する。さらに自治体、非営利団体、教育・医療機関などに向け、x86サーバー「HP ProLiant MicroServer」を150台、ネットワークストレージ「HP StorageWorks X510 Data Vault」150台を無償提供する。

 また日本マイクロソフトは、被災地域の自治体や救援活動を行うNPOに、クラウドサービスを活用した避難所運営ソリューション「震災復興支援システム」を無償提供している。企業で使われているCRM(顧客関係管理)のクラウドサービス版である「Dynamics CRM Online」を被災地域の避難所運営に最適化したもので、避難所や避難者に関する各種情報を体系的に整理し、一元管理できるという。また復興・復旧支援を行う非営利法人を対象に、同社のWindowsやOffice、サーバー製品などを一定の枠内で無償提供している。

 これらはほんの一例だ。こうした支援の取り組みは、日本経済団体連合会のWebサイトに数多く紹介されているほか、ITproでも一覧にまとめている。