米Microsoftは米国時間2011年3月30日、米Googleが欧州の競争法に違反しているとして、欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)に正式に申し立てる意向を明らかにした。Microsoft上級副社長兼法務顧問のBrad Smith氏は、Googleの過去10年以上にわたる革新を讃えたうえで、「いずれの競合事業も阻止しようとする行動パターンをGoogleが拡大していることに懸念を覚える」と述べている。

 ECは昨年11月、複数の欧州インターネットサービス会社からの苦情申請を受け、Googleを競争法違反の疑いで正式に調査することを発表している(関連記事:欧州委員会、競争法違反の疑いでGoogleの正式調査を開始)。

 Googleは米国検索市場でも圧倒的なシェアを占め、検索広告や書籍検索における支配力に関してたびたび問題視されてきた。しかもECのデータではGoogleは欧州検索市場で約95%のシェアを占めており、「米国よりさらに深刻だ」とMicrosoftは指摘。そのため、欧州検索市場について懸念を表明している多数の企業に加わることを決めたとしている。

 Smith氏は、Googleがコンテンツやデータの囲い込みを拡大し、競合社がこれらにアクセスできないようにして、消費者に検索結果を提供したり、広告主に売り込んだりするのを妨害していると主張。競争を阻害している例として、競合検索エンジンから同社傘下の「YouTube」サービスへの正当なアクセスを制限していること、MicrosoftのモバイルOS「Windows Phone」を搭載した端末でYouTubeが正常に機能できないようにしていることなどを挙げた。

 Smith氏によると、欧州検索市場を案じる広告主やパブリッシャー、消費者から、Microsoftに対して、検索市場に関するナレッジを欧州競争当局と共有するよう促されていたという。Microsoftは自身が欧州当局と競争法違反を巡る係争を長期にわたって繰り広げており、「今回の正式な申し立ては軽々しい気持ちで行うものではない」と述べている。

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