米Googleと米連邦取引委員会(FTC)は現地時間2011年3月30日、Googleのコミュニケーションツール「Google Buzz」のプライバシー侵害を巡る訴訟で和解に達したと発表した。和解条件としてFTCはGoogleに対し、包括的なプライバシープログラムの確立と、今後20年にわたって2年ごとにプライバシー保護策に関する外部査察を受けることを義務付けている。

 Buzzは、Googleが2010年2月に同社のWebメールサービス「Gmail」内に導入した機能で、ユーザーが短いコメントを投稿して手軽に他のユーザーとやり取りできるというもの。リリース直後から、意図せず本名や居場所が公開されてしまったなどとする苦情が相次ぎ、Gmailで頻繁にメールやチャットをしている相手を自動的にフォローする仕組みも問題視された。

 この事態を受け電子プライバシ情報センター(EPIC)は同月、FTCに調査を行うよう要請した(関連記事:プライバシ団体が「Google Buzz」の調査をFTCに要請)。FTCの調査によれば、Buzz公開当時、Googleのプライバシーポリシーには「ユーザーが登録を必要とする特定のサービスにサインインする際、個人情報の提供が求められる。もし、個人情報が提供当時と異なる目的に使用される場合、Googleは事前にユーザーから承認を得る必要がある」と明記されていた。FTCはこの点でGoogleが同社のプライバシーポリシーに違反していたと判断した。

 Buzzを使う意思の有無をユーザーに問う際のダイアログの文言が曖昧であった点や、個人情報の公開について誤った印象を与える不正確な表現を用いた点もFTCは指摘し、「和解要件はこうした誤った表現の使用を禁じるものだ」と説明した。

 Googleは今回の合意に当たり、「Buzzのリリースは、透明性とユーザーコントロールに関する通常の基準を満たさず、ユーザーと当社を落胆させた。Buzzで犯した過ちについてあらためて謝罪する。この問題が終結したことに感謝するとともに、当社の新たなプライバシー対策がユーザーの利益を効果的に保護できるよう100%集中する」とコメントした。

 GoogleとFTCの和解合意は、2011年5月2日までの30日間広く一般の意見を募集した後、FTCが成立か否かを判断する。

[発表資料(FTC)]
[発表資料(Google)]