会津若松市は2011年3月29日、LibreOfficeの試用を開始したことを明らかにした。LibreOfficeは、OpenOffice.org開発コミュニティの主要メンバーが2010年9月に立ち上げた「Document Foundation」が開発しているオープンソースのオフィスソフト(関連記事)。

 同市は、市役所の全パソコン約840台のうちの85%をMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgに移行し、5年間で1500万円を削減するプロジェクトを進めている(関連記事)。

 その一方で、LibreOfficeは、LinuxディストリビューションopenSUSEの最新版11.4や、Ubuntuの次期バージョンUbuntu 11.04でOpenOffice.orgに代わるオフィスソフトとして標準搭載されるなど、オープンソースコミュニティの間で支持が広がっている。特定非営利活動法人 OpenOffice.org日本ユーザー会でも、OpenOffice.orgだけでなくLibreOfficeについての情報提供などを行っている。今後、日本でもLibreOfficeの普及が拡大する可能性もあるため、同市でもその評価を開始した。

 現在、LibreOfficeを同市役所のイントラネット上で公開し、職員が自由に利用できるようにしている。まだ試用を始めたばかりだが、同市の情報政策課では、「アイコンが色分けされ比較的視認性が高い」「点線・破線が利用できる」「均等割付が利用できる」「表紙付きの構成を作成しやすい」などの点を評価している。また、更新のペースが速いため、不具合修正や機能強化のスパンが短くなることも期待しているという。コミュニティとの情報交換やバグ報告も始めており、今後も品質向上に協力していきたいとしている。

 同市では、OpenOffice.orgへの移行を決定すると同時に、標準ファイルフォーマットとしてISO(国際標準化機構)規格でありOpenOffice.orgの標準フォーマットであるODF(OpenDocument Format)を採用した。「(標準フォーマットである)ODFへの運用移行を柱としてきたことで、複数のソフトウエアを選択して使うことが可能になった」(情報政策課)と話している。

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