国連基金(UNF)はアラブ首長国連邦で現地時間2011年3月28日、国連人道問題調整部(OCHA)および英Vodafone Foundationと共同で、災害時救援活動における技術利用について調査した「Disaster Relief 2.0」レポートを発表した。災害救助および被災者支援を迅速かつ効率的に進めるために、オンライン地図データなどの技術が大きな役割を果たすようになっているが、人道支援団体と技術コミュニティが直接協力することが、支援活動をよりいっそう向上するためのカギになるとしている。

 同調査は、米ハーバード大学人道援助組織(HHI)も協力し、40人以上の技術専門家および人道支援専門家にインタビューを実施した。レポートでは、人道支援団体と市民主導型技術コミュニティによる過去の実績と、今後の緊急時救援活動のガイドラインとなるフレームワーク案を提言している。

 2010年のハイチ大地震では食料、医療、避難所を配備するために、新技術を用いた情報共有が極めて重要な役割を果たした。フリーの地理情報データプロジェクト「OpenStreetMap」はわずか2週間で地理データを構築し、ロジスティクスや避難所管理に役立てられた。また、米Googleや米Microsoftの技術を用いて、SNSサイト「Twitter」や「Facebook」などに投稿されたコメントと位置を照合することで、救援活動の最適化を実現できたという。

 しかし技術コミュニティの草の根運動はこうした技術ベースの手段を提供する一方、現地のボランティア活動については素人だ。その点、国連機関やNGOなどは、数十年にわたる経験の蓄積がある。今後は、人道支援団体が、ソーシャルメディア、クラウドソーシング、地理空間ツールといった技術ベースの手段を統合するための明確なポリシーやプロトコルを策定する必要があると、同レポートは指摘している。

[発表資料(UNFのプレスリリース)]
[レポート(PDF文書)]