米トムソン・ロイターは2011年3月23日、大震災による被災者と被災地の支援を目的として、同社従業員に対する義援金寄付の呼びかけや、同社が所有する放射線関連および救急医療処置に関するデータベースを無償で公開するなどの取り組みを開始していることを発表した。

 まず、義援金による支援では、同社を含むトムソン・ロイター・グループの従業員向けに、「マッチングギフト」方式による義援金の受け付けを始めているとした。マッチングギフトとは、ユーザーの寄付金額に運営組織などが上乗せする寄付方式のこと。同社の場合、従業員一人当たりの寄付金額の上限を2000米ドルとし、寄付金額に同額を上乗せして各国の赤十字社やUNICEFなどに寄付するという。

 被災現場の医療関係者や災害対策本部など向けに、被災地で必要となる「放射線関連情報」や「救急医療処置に関する情報」などを含むデータベースの無償公開も始めている。

 具体的には、同社が所有する医薬品情報や中毒安全性情報などを格納したデータベース「MICROMEDEX2.0」に含まれる放射線関連情報および救急医療処置情報をすべて公開。同データベースのログインページから指定したユーザー名とパスワードを使ってアクセスできるようにしている。ユーザー名とパスワードは、特設ページ上に掲載しているものを利用する。

 さらに、震災の被害を受けた研究者を支援するために、学術文献データベース「Web of Science」の無償公開も実施中だ。同データベースは、1900年から現代までに世界中で発行された学術雑誌のうち、特に影響力が大きい雑誌などを厳選して収録。世界中の約1万2000誌の学術雑誌から、研究に必要な情報を検索できるようになっている。データベースへのアクセスは、「東京大学附属図書館と情報基盤センター」および「京都大学付属図書館」を通じて提供する。提供期間は4月末までを予定している。