米Googleの書籍全文検索サービス「Google Book Search(Google Books)」をめぐり、Googleと米国の作家団体Authors Guildなどが合意した集団訴訟の和解案について、米ニューヨーク南地区連邦地方裁判所のDenny Chin判事は米国時間2011年3月22日、両者が作成、提出した修正和解案を認めないとする判断を下した。

 Chin判事は「書籍の電子化や、ユニバーサルな電子図書館をつくることは多くの人に恩恵をもたらす」と一定の理解を示したが、「著作権者の許可なくGoogleが多くの利益を得るこの修正和解案では、同社の立場が極めて有利になり、公正さや妥当性を欠く」と結論を下した。一方で判事は「著作権者が承認した書籍のみを対象にすることで多くの反対意見は取り除かれる」との考えも示した。

 Googleは図書館などの協力を得て世界中の書籍をスキャンし、それをもとに書籍の全文検索サービスを提供している。著作権者の許可を得ないGoogleのこの行為が著作権侵害に当たるとし、Authors GuildなどがGoogleを相手取り集団訴訟を起こしたが、2008年10月、Googleが一定の金額を払うことなどを条件に両者は和解した。ただし連邦民事訴訟規則によって集団訴訟の和解は当事者同士だけでは行えず、裁判所の承認が必要となる。両者は2009年11月に対象となる著作物の “国籍” を英語圏の4カ国に限定した修正和解案を提出し、裁判所の判断を待っていた(関連記事:「Google Books」を巡る著作権侵害問題、写真業界団体などが集団訴訟)。

 米メディア(New York Times)によると、今回の判断を受け、Authors GuildのPaul Aiken事務局長は、「判事は明白に(和解案の)さらなる修正という可能性を残した」と述べている。一方Google法務担当のHilary Ware氏は「大変残念だ。この修正和解案は現在入手困難な数百万冊という書籍へのアクセスが可能になるものだ」と述べている。

[連邦地方裁判所の判決文]