米調査会社IHS iSuppliは米国時間2011年3月21日、東日本大震災の影響で世界のシリコンウエハーの4分の1の生産が止まっているなどとする調査結果を報告した。信越化学工業のシリコンウエハー子会社、信越半導体の白河工場(福島県西郷村)が操業を停止しているほか、米MEMC Electronic Materialsの宇都宮工場(栃木県宇都宮市)も停止している。信越半導体では世界のシリコンウエハーの20%を、MEMCでは5%を生産しており、2社の操業停止は世界の半導体業界に大きな影響を及ぼすとしている。

 信越半導体はDRAMやNAND型フラッシュメモリーなどの製造に使われる300mmウエハーを生産している。信越化学工業では製造設備の損傷を確認しており、信越半導体グループのほかの工場で生産体制を整備するとしているが、現時点でどの程度の時間を要するか明らかになっていない。MEMCも地震直後から操業を停止しているが、施設と製造設備の安全性の確認や損害状況についてまだ分析しておらず、「当面同工場からの出荷に遅れが生じる」と説明している。

 このほかIHS iSuppliは、プリント基板(PCB)用材料の銅張積層板(copper-clad laminate)で、合わせて世界シェア70%を占める、三菱ガス化学と日立化成ポリマーが2週間以内に操業再開すると報告している。こちらの場合、現在の在庫状況を考えると2社の操業再開時期が著しく延びない限り、世界に与える影響は少ないとしている。

 またIHS iSuppliは、エルピーダメモリの半導体組み立て工場が、電力供給の問題で稼働率が50%以下になっていることや、地震がルネサスエレクトロニクスの生産能力に4割程度の影響を与えたことなどを指摘している。

[IHS iSuppli]
[信越化学工業の発表資料]
[MEMC Electronic Materialsの発表資料]