損傷が確認されている主な生産拠点  日立のデータ
損傷が確認されている主な生産拠点  日立のデータ
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 日立製作所は,3月17日に,今回の地震による日立グループへの影響および対応に関するお知らせの第2報を発表した(当該文書:PDF)。3月14日に発表された第1報に次ぐものである(関連記事)。

 発表された第2報は,(1)生産拠点の状況,(2)社員の状況,(3)対策統括本部の設置,(4)東電・福島第一原発への協力,(5)2011年度の新入社員と入社式の扱い,(6)2012年度新卒採用活動,の6点に関して伝えている。

日立マクセルで乾電池フル生産

 まず,(1)生産拠点の状況について。茨城県内の主要な生産拠点では,建屋の一部損壊や壁面の亀裂,天井・屋根・外壁の落下,ガラス割れ,建屋内のキャビネット転倒などが確認されたが,順次電力が回復しており生産設備の点検を進めているという。現時点で水道やガスなどの復旧の見込みは立ってはいないが,引き続き従業員の安全確保を最優先に,インフラの回復状況などを見ながら,操業再開に向けて取り組むとする。

 建屋や生産設備の損傷が確認されている主な生産拠点は,右図に示した7カ所である。第1報から日立ディスプレイズ 茂原事業所が追加になった。

 なお,ルームエアコンや冷蔵庫などを生産している日立アプライアンス 栃木事業所(栃木県栃木市)では,3月17日,計画停電の時間帯を除き,ルームエアコンの生産を再開した。また,情報・通信システム関連製品を生産している神奈川県の主な拠点では,3月17日より通常通り操業を開始した。そして,日立マクセル 大阪事業所(大阪府茨木市)は,乾電池のフル生産を始めた。

 次に,(2)社員の状況について。発表では,日立グループ社員・家族の被災状況について,継続的に確認を行っているとした。

 その次は,(3)の対策統括本部の設置について。地震が発生した3月11に,日立製作所は,社長を最高責任者とする「日立グループ東日本大地震対策統括本部」を東京都千代田区にある同社の本社に設置した。同本部を中心に,被災地および顧客への復旧に向けた支援を行う。また,社員・家族,各拠点の被災情報の収集と対応策の検討・実施を進めているという。

2012年度新卒採用活動の開始を延期

 (4)の東京電力福島第一原子力発電所への協力については,以下の通り。日立製作所に24時間体制の緊急対策室を設置し,政府と東京電力の共同対策チームに日立から技術者を派遣しているほか,現地での対策に必要な資材調達や作業支援を行っている。今後も関係機関の要請に対して全面的に協力し,迅速に対応するという。

 (5)の2011年度の新入社員と入社式の扱いについては,次のようになる。日立製作所の2011年度新入社員は予定通りに4月1日付けで採用し,入社延期の措置は取らない。また,東京で開催の入社式も予定通りに4月1日に実施する。ただし,地震の影響によって4月1日に赴任できない新入社員は,4月1日付け入社の手続きが行えるように,個別に対応する。

 最後に(6)の2012年度新卒採用活動について。日立製作所の2012年度(2012年4月入社予定)の大学・高等専門学校卒業予定者に対する,採用・選考活動の開始時期を4月1日から6月1日に延期する。高等学校卒業予定者の採用・選考活動の開始時期は,9月16日の予定である。なお3月10日付けで発表した(当時のニュース・リリース),こうした新卒者および経験者の採用計画に変更はない。

 さらに日立製作所は,3月17日付けで,2011年3月31日を基準日とする余剰金の配当(2011年3月期 期末配当)の予想を修正した旨の発表を行った(当該文書:PDF)。2010年11月2日に公表した時点では,同配当金を1株当たり3円としていた。それを「未定」にした。今回の地震の影響について検討に入るためである。業績に与える影響などを精査した上で,決定・公表する予定。