情報通信研究機構(NICT)は2011年3月12日、福島県にある日本の標準時刻を伝えるための施設「おおたかどや山標準電波送信所」において、電波の送出を停止したことを明らかにした。福島原発に伴う避難指示に従い、3月12日19時46分に停波を実施したという。13日11時45分現在、復旧の見込みは「未定」となっている。同送信所は、福島県田村市と同双葉郡川内村境界付近の大鷹鳥谷山の山頂付近にある。

 日本標準時の電波を送出する施設は2つあり、おおたかどや山標準電波送信所はその一つ。40kHzの送信周波数を使っている。もう一つの送信所は、佐賀県佐賀市富士町と福岡県糸島市境界の羽金山山頂付近にある「はがね山標準電波送信所」で、こちらは60kHzの周波数を使っている。

 この二つの送信所でほぼ国内全域をカバーしているが、その一つが停止したことで、単体の電波時計はもちろんのこと、電波時計からの情報を基にしているNTPサーバー(GPSなどの情報を使っているタイプは無関係)や、それらNTPサーバーからの時刻配信を受けているサーバーやネットワーク機器の時刻情報にもずれが生じる可能性がある。

 機器の時刻情報を正確に保つことは、ネットワークやサーバー管理者にとってきわめて重要である。自社のログ管理などにとって重要なのはもちろん、外部に被災に関係する情報などを伝える際に誤った時刻情報を伝えるのを避けるためにも、管理や運営に携わる人は、通常時よりも頻繁に機器の時刻情報をチェックする体制を整えた方がよいだろう。