写真●記者会見する日立製作所の中西宏明社長
写真●記者会見する日立製作所の中西宏明社長
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 日立製作所は2011年3月7日、100%子会社のHDD(ハードディスク)メーカーである日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)を、米ウエスタンデジタル(WD)に約43億ドル(約3500億円)で売却すると発表した。WDはHDD事業の世界最大手で、HGSTは世界第3位。

 WDは日立に対し、現金35億ドルおよび7億5000万ドル相当のWD株式を支払う。日立はWDの発行済み株式の約10%を保有する株主となる。各国の規制当局からの許認可が条件となるが、売却手続きは11年9月までに完了する見込み。

 記者会見した日立の中西宏明社長(写真)は「HGSTは日本とアジアに強く、WDは欧米に強い。デジタルコンテンツの普及速度を考えると、ストレージ需要は今後さらに伸びていく。今回の統合により、新会社はHDD業界で魅力ある会社になる」と強調した。

 HGSTは03年、米IBMから約20億ドルで買収したHDD事業が主体となって発足した。長らく赤字に苦しんだが、中西社長が05年にHGSTのCEO(最高経営責任者)に就任し、経営を立て直した経緯がある。10年4-12月期は487億円の営業黒字を計上した。買収額と期間損益、売却額を考えると「ドル建てではかなりの黒字になる」(中西社長)という。

 日立は「情報・通信システム」セグメントで企業向けストレージ事業を手掛けているが、HDD事業は「コンポーネント・デバイス」セグメントに分類している。HDDはあくまでも部品であり、日立内部から調達する必要はないとの立場だ。そのため、「(情報・通信システム部門の)長期計画は変更しない」と中西社長は語った。