図●メールトラフィックに占めるスパムメールの割合(資料提供:Kaspersky Labs Japan)
図●メールトラフィックに占めるスパムメールの割合(資料提供:Kaspersky Labs Japan)
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 ロシアのセキュリティベンダーKaspersky Labsの日本法人であるKaspersky Labs Japanは2011年3月7日、1月のスパムメールの世界動向をまとめたレポートを発表した。ロシア正教のクリスマス休暇にあたる1月初旬にスパムメールが減少したことから、レポートでは、「ロシアの犯罪組織が世界のスパムビジネスにおいて重要な役割を果たしている」と考察している。

 レポートによると、1月の全メールトラフィックに占めるスパムの割合は平均77.6%となり、前月比で0.5ポイント増加した。また、全メールの2.75%でマルウエアファイルが検知された。最も多くメール送信されたマルウエアは、銀行や決済システムのWebサイトを模倣してログインIDやパスワードを盗難するトロイの木馬プログラム「Trojan-Spy.HTML.Fraud.gen」だった。

 1月にスパムの割合が増加した要因には、法的介入などにより2010年後半から減少していた米国発の迷惑メールが復調してきたことがある。米国から発信されたスパムは、2010年8月には全スパムの15.5%と圧倒的に世界トップだったが、同年11月、12月には1.5%以下に減少しトップ20から脱落した。しかし、1月には2.07%と増加に転じ、再び世界14位にランクインした。

 同社では、「米国のトップ20再ランクインは、サイバー犯罪者が米国内のボットネットを復活させている兆しであり、由々しき事態」として、警戒を呼びかけている。

 1月全体のスパムが増加した一方で、1日から10日の期間だけは、全メールトラフィックに占めるスパムの割合が月平均の5分の1から6分の1程度に減少している()。これは、スパムを送信しているボットネットの持ち主が一斉休暇に入ったためと考えられるが、この期間は、西欧のリスマス休暇ではなく、ロシア正教のクリスマス休暇にあたる。この結果から、レポートでは、「世界のスパムビジネスにおいて重要な役割を果たしているのはロシア人、具体的には旧ソ連諸国の犯罪組織であると推測される」と考察している。