米Bloombergは米国時間2011年3月5日、米Appleがデジタル音楽配信サービスで、無制限のダウンロードサービスを計画していると報じた。事情に詳しい関係者の話として、仏Vivendi傘下の米Universal Music Groupや、米Sony Music Entertainment、米Warner Music Group、英EMI GroupなどのレコードレーベルとAppleが協議中だと伝えている。

 Appleが「iTunes Store」で販売してるデジタル音楽は、パソコンを紛失したり、ハードディスク装置(HDD)が故障したりして再びダウンロードしたい場合でも、もう一度購入する必要がある。また「iPhone」「iPod」「iPad」などのモバイル機器とパソコンの間で楽曲を同期する場合、ケーブルでつないでデータを転送する必要がある。無制限のダウンロードが実現すれば、ユーザーはこうした金銭的損害や煩わしさから解放されることになる。

 Bloombergは事情に詳しい関係者の話として、Appleとレコード会社は早ければ2011年の半ばにも交渉をまとめたい考えだと伝えている。Appleは毎年9月にiTunesの新機能やiPodの新製品について発表しており、交渉が成立すればこの時期に新サービスが明らかになるとしている。

 Appleのオンラインサービスについては、先ごろ米Wall Street Journal(WSJ)が、Appleが「MobileMe」の刷新を計画していると報じていた。MobileMeはファイルなどを保存しておけるオンラインストレージのほか、連絡先やカレンダーのデータ、メモ、Webブラウザーのブックマークなどを保存しておき、パソコンやiPhone、iPadなどと同期できるサービス。現在は年間99ドルで提供しているが、Appleはこれを無料にし、音楽サービスの機能も追加する計画とWSJは伝えていた。

 2月に開催した株主総会でPeter Oppenheimer最高財務責任者(CFO)がノースカロライナ州のデータセンターをiTunesとMobileMeの拠点にすると説明していたとから、交渉中の新サービスはこのデータセンターから提供されるのではないかとBloombergは伝えている。