写真●2011年2月に開催した改善表彰大会「Q-up」の様子。壇上の2人の女性が大連から来た担当者
写真●2011年2月に開催した改善表彰大会「Q-up」の様子。壇上の2人の女性が大連から来た担当者
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 太陽生命保険は2011年3月7日から、人事業務の一部を中国・大連にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)する。人事担当役員の松森博司取締役専務執行役員が日経情報ストラテジーに対して明らかにした。同3月8日に大連でBPOの開所式を催す。

 BPOする相手は、中国・大連に拠点を構えるインフォデリバ(東京都港区)。太陽生命は2008年5月から保険金請求に必要な医師からの診断書の入力業務をインフォデリバにBPOしてきた実績がある(関連記事)。入力業務での協業実績を踏まえ、松森取締役はインフォデリバに人事業務もBPOできないかを2010年夏に打診。同年10月には大連から中国人の研修生を3人、日本に招き、業務移管の準備を進めてきた。そしてわずか7カ月という短期間で、中国へのBPO開始まで漕ぎ着けた。

 対象となる人事業務は、同社が7年前から利用しているワークスアプリケーションズの人事パッケージソフト「COMPANY(カンパニー)」で構築しているシステムが絡む約400種類ほどの人事・給与業務のうち、3分の1に相当する140業務。まず2011年3月に退職金関連の3業務の処理から始め、同5月に63業務、同11月に74業務をそれぞれインフォデリバにBPOしていく計画だ。

 大連で実施するのは、主に人事関連の入力や集計にかかわるものが中心である。人事システムは引き続き国内のセンターに設置し、専用回線経由で大連に置くシンクライアントからアクセスする。

 これにより、COMPANY関連の人事業務に携わる社員20人分の仕事のうち、7人分は中国にBPOできることになる。浮いた国内の人員は他の部門に移し、より高度な仕事に取り組んでもらうことにしている。

コストは40%削減できる見通し

 BPOを推進する松森取締役は「特定のシステムを使う人事業務に対し、安定的に優秀な人材を確保しつつ、コストを引き下げるため、中国へのBPOを決断した。入力業務でBPOしてきた実績があるので迷いはなかった。この半年で人事業務のペーパーレス化を進めるなどBPOに向けて社内のワークフローはかなり見直した」と話す。BPOにより、コストは従来比で30~40%下がる見通しだという。

 太陽生命は以前から、インフォデリバと共同で業務改革を進めてきた。2011年2月25日には、入力業務をBPOしている大連の女性担当者のうち2人を、日本で実施した社内の業務改善表彰大会「Q-upキャンペーン」に招待(写真)。大連の担当者が日本語で自分たちの改善内容を披露する場を設けるなど交流を深めている。