写真●左からPublickeyの新野 淳一氏、CSKの瀧澤 与一氏、電通国際情報サービスの渥美 俊英氏、アイレットの後藤 和貴氏、テラスカイの佐藤 秀哉氏、ワークスアプリケーションズの遠藤 博樹氏(写真:中根 祥文)
写真●左からPublickeyの新野 淳一氏、CSKの瀧澤 与一氏、電通国際情報サービスの渥美 俊英氏、アイレットの後藤 和貴氏、テラスカイの佐藤 秀哉氏、ワークスアプリケーションズの遠藤 博樹氏(写真:中根 祥文)
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 「インフラのエンジニアはいらなくなる。クラウドでSI企業は儲からなくなる」(テラスカイの佐藤 秀哉社長)、「クラウドで今までに考えられなかったようなサービスや機能を提案できる能力がないと差別化できないのではないか」(アイレットcloudpack事業部エバンジェリストの後藤 和貴氏)───。

 2011年3月3日、東京都内で開催のイベント「Cloud Days Tokyo 2011 Conference & EXPO」会場で開かれたパネルディスカッション(写真)では、システムインテグレータ(SI企業)にとって厳しい意見が飛び出した。同パネルは「クラウド時代に求められるシステムインテグレーション」をテーマに行われたもの。

 テラスカイの佐藤社長は「IT業界は過去何回かの大きな変革があったが、クラウドは15年くらい前に起こったクライアント/サーバー(C/S)の変革に似ている。当時、私は外資系コンピュータメーカーでホストやオフコンを売っていたが、あっという間にC/Sになった」とし、「C/Sに変化したとき、ハードウエアでは儲からなくなった。そして今回はソフトウエア業界が儲からない時代が来るのではないか」と予測する。

 「最終的にアプリケーションはどんどんクラウド上に乗っていく。インストールなどが容易になり、ますますSI企業は儲からなくなる。そのような時代にどう生き残るかを考えなければならない」(佐藤社長)。

 また、2日に米アマゾン・ドット・コムの子会社である米アマゾン・ウェブ・サービシズが東京地区にデータセンター(DC)を開設したことで(関連記事)、「黒船が上陸した」(CSKクラウド事業開発課の瀧澤 与一課長)。これにより「国内のクラウドベンダーの地理的優位はなくなるだろう」(パネルの司会を担当したPublickeyの新野 淳一氏)。

 これまで、一部のユーザー企業には海外のDCにデータを配置することに心理的な不安があったという。しかし、アマゾンの東京地区DCの開設によって、このような障壁も取り払われた。

 しかも、「アマゾンの東京地区DCのレイテンシ(遅延)は3~5ミリ秒くらいだった。これは国内の平均的なDCよりも速いのではないか」(電通国際情報サービス クラウド事業推進センター エバンジェリストの渥美 俊英氏)。

 クラウド、特にアマゾンのクラウドが国内のSI企業やベンダーに大きな変革を迫ることは間違いない。

 もちろん、新たなニーズもある。テラスカイの佐藤社長は「今後はアマゾンとセールスフォースを組み合わせるといったクラウド間連携が花盛りになるだろう。こういうところを研究し、技術者を養成したい」としている。