写真1●日立製作所の高精度位置検知システム「AirSense UWB Hi-bandモデル」で使う無線タグ
写真1●日立製作所の高精度位置検知システム「AirSense UWB Hi-bandモデル」で使う無線タグ
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写真2●無線タグからの信号を読み取る「無線固定器」
写真2●無線タグからの信号を読み取る「無線固定器」
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 日立製作所は2011年3月3日、超広帯域無線(Ultra Wide Band、UWB)の7G~10GHzハイバンド周波数帯を使って無線タグの位置を測定する高精度位置検知システム「AirSense UWB Hi-bandモデル」の販売を始めた。4月28日から出荷を始める。主に企業や大学の研究開発部門などへの導入を見込んでいる。

 UWBは、携帯電話など他の無線通信方式に影響を与えない程度の微弱な電波を広い帯域幅に渡って送信することで、近距離での高速通信を実現する無線通信技術。高速通信が可能なことに加えて、(1)消費電力が少ない、(2)妨害電波に強い、(3)位置検出精度が高い---といった特徴を兼ね備えている。

 AirSense UWB Hi-bandモデルは、(3)の位置検出精度の高さを利用した位置検知システムである。測定対象物に取り付ける「無線タグ」(写真1)と無線タグからの信号を読み取る「無線固定器」(写真2)および関連ソフトウエアでシステムを構成。無線タグの位置を誤差30cm以内で特定できるという。無線固定器を棚や壁などに複数設置することで三次元の位置検出も可能だとしている。

 UWBには、3.4G~4.8GHz帯を利用する「UWBローバンド」と7.25G~10.25GHz帯を利用する「UWBハイバンド」の2種類の周波数帯を利用する方式がある。UWBローバンドは第4世代移動通信システム(4G)が利用を検討している周波数帯との競合が見込まれるため、利用するには免許が必要となる。日立製作所によれば、免許取得には通常数カ月かかるという。

 一方、AirSense UWB Hi-bandモデルはそうした競合のないUWBハイバンドを利用しており、技術基準適合証明(ARIB STD-T91準拠)も取得済みであるため、免許取得や申請が不要で購入後すぐに利用できる。

 価格は個別見積もりとしているが、無線固定器4個と無線タグ2個、無線タグ充電用のクレードルや関連ソフトウエアなどで構成する「標準システム構成」の場合で、474万円となっている。