写真●Cloud Days Tokyo 2011で講演するNTTコミュニケーションズの中山幹公氏(撮影:中根 祥文)
写真●Cloud Days Tokyo 2011で講演するNTTコミュニケーションズの中山幹公氏(撮影:中根 祥文)
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 「今、クラウド導入に対して抱かれている懸念は、『コストメリット』『セキュリティ対策』『障害時の対応、サポート』の三つ。NTTコミュニケーションズのキャリアとしてのノウハウがこれらの懸念を解消する」。NTTコミュニケーションズのクラウドサービス「BizCITY」を担当する中山幹公ビジネスネットワークサービス事業部・販売推進部担当部長(写真)はCloud Days Tokyoの講演でこう自社サービスの強みを述べた。

 中山氏は、クラウド市場で争う競合サービスとの比較を通して、通信事業者系のクラウドの優位点を挙げた。まずコスト面では、「通信事業者は以前から、大量のユーザーに通信設備をサービスとして利用してもらい、コストを下げていくビジネスモデルが前提だった。その点では、米アマゾン・ウェブ・サービシズのような『クラウドネイティブ』の事業者と同じモデルである」とする。少数のユーザーを対象にしてきたオンプレミス系事業者に対して優位であるとの指摘だ。

 次に、「一方、海外系のクラウドネイティブのサービスは、セキュリティやサポート面の不安はどうしても生じる。インターネットを介して使うためスループットも安定しない。これに対して国内の通信事業者であれば、クラウドまでつなぐネットワークも含めて高品質でセキュリティの高い環境を提供できる」とした。

 その上で、NTTコムが提供する「BizCITY」ブランドのクラウドサービスは、「2006年から4年半以上の経験を踏まえて運用ノウハウを蓄積している。例えば、NTTコムのIP-VPNや広域イーサネット回線を使えば、新たにデータセンター用のセンター回線を持たなくてもBizCITY上のサービスに接続できる、という点は他社サービスになく、目立ちにくいが既存ユーザーにも喜ばれている」という。

 今後NTTコムでは、BizCITYサービスとネットワークサービスのシームレス化をさらに進めていくという。4月に開始予定の新しいVPNサービス「Universal One」では、BizCITYを利用する際に、これまで必要だった申し込み手続きや月額7000円台のゲートウエイ料金を無償化する。「回線を契約した時点でセキュアなクラウド基盤が使える状態になっている。仮想サーバーだけでなく、メール、仮想デスクトップなど品ぞろえも充実しており、どんどん使ってもらいたい」(中山担当部長)。

 「通信事業者としては当然だが、ネットワーク、インターネット技術、インフラ保守体制の品質は国内最高レベル。さらに見落とされがちだがサーバー運用技術も、長年ISP事業を通して培ったノウハウが生かされている」と、通信事業者としての総合力をクラウド事業でも活用していくとした。