図1 市場の展望などを語るクアルコムジャパン代表取締役会長兼社長の山田 純氏
図1 市場の展望などを語るクアルコムジャパン代表取締役会長兼社長の山田 純氏
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図2 Snapdragon端末で実行した3Dゲーム。高精細な画面が滑らかに表示されていた
図2 Snapdragon端末で実行した3Dゲーム。高精細な画面が滑らかに表示されていた
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 クアルコムジャパンは2011年3月1日、2011年に順次投入する予定の携帯端末向けチップに関する説明会を開催。市場を取り巻く状況や技術の詳細、今後の見通しなどについて明らかにした。

 冒頭で、同社の代表取締役会長兼社長の山田 純氏は「スマートフォンなど携帯端末の出荷台数が、2011年にパソコンを追い抜き、この差は今後数年でさらに拡大する」との展望を明かした。その上で「同社の生命線」と語る無線通信技術について言及。「同社が提供してきたCDMA世代のMDM(Mobile Data Modem、以下通信)チップと同様に、LTE世代の通信チップでも業界のリーダーシップを発揮したい」と述べた。同社は2月14日に、LTEやDS-HSPAなど多くの通信規格に対応した「MDM9615」と、さらに下りの通信速度を強化した「MDM9625」「MDM9225」を発表済み。2011年末のサンプル出荷を予定しているが、「通信業者からの要望もあり、前倒しで投入する可能性もある」(山田氏)とした。

 同じく2月14日に発表したのが携帯端末向けのチップセット「Snapdragon」の次世代版。CPUやグラフィックス機能、無線LANやGPSなどの機能を統合する。新型Snapdragonでは、「Krait(クレイト)」と呼ぶ、新しいCPUコアを採用したのが特徴だ。ラインアップは、シングルコアタイプの「MSM8930」とデュアルコアタイプの「MSM8960」、クアッドコアタイプの「APQ8064」の全3種類で展開する。新型Snapdragonは、業界で最先端とされる28nmプロセスで製造。CPUコアの最大動作周波数は2.5GHzに達する。

 同社は、Snapdragonが他社のCPUコアと比べて優ている点として、マルチコア動作時における消費電力の低さを挙げた。「他社のCPUだとあるコアのクロックが上がると他のコアのクロックも上がる。これに対して、弊社のCPUコアは各コアが非同期のため、各コアが常に最適なクロックで動作する。結果的に消費電力が抑えられる」(山田氏)という。会見場ではSnapdragonの技術デモを披露し、3D動画やゲームなどが円滑に処理できることを示していた。

 SnapdragonがサポートするOSについて、山田氏は「スマートフォン市場の4分の3を占めるAndroidに最も力を入れているが、どのOSが生き残るかはまだまだ予断を許さない。引き続き、Windows Phoneなどの他OSもサポートしていく」と語った。

■変更履歴
記事掲載当初、マルチコア動作時における消費電力の低さを新型Snapdragonの特徴としましたが、現行Snapdragonシリーズにも同様の特徴があります。デモは現行Snapdragon搭載端末で実施したものです。また、iOSはSnapdragonのサポート対象としていましたが、正しくはサポート対象外です。お詫びして訂正します。本文は訂正済みです。 [2011/3/2 18:38]