写真●KDDIの石川雄三取締役執行役員常務ソリューション事業本部長(左)と米3LMのトム・モスCEO、共同創業者
写真●KDDIの石川雄三取締役執行役員常務ソリューション事業本部長(左)と米3LMのトム・モスCEO、共同創業者
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 KDDIは2011年3月1日、Android向けのセキュリティソリューションの分野で、米3LM(Three Laws of Mobility)と提携したと発表した。KDDIは3LMが開発したAndroid端末向けのセキュアプラットフォームを使った法人向けセキュリティ管理サービスを、2011年8月から試験提供する。料金は後日発表する。

 3LMは2010年7月に設立されたばかりのAndroid向けセキュリティソリューションを提供するスタートアップ企業。2011年2月には米モトローラ・モビリティに買収され、同社の100%子会社となっている。CEOで共同創業者のトム・モス氏(写真)は、前職の米グーグルでAndroid事業を担当している。このため、Androidに精通しており、端末メーカーや通信事業者と幅広い付き合いがあるという。端末メーカーとしては、モトローラのほか、台湾HTCやソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ、シャープ、韓国パンテック&キュリテルの5社と提携している。なおモスCEOは、日本への留学やグーグルの東京オフィスの勤務の経験もあり日本語が堪能だ。

 3LMのセキュリティソリューションの特徴は、「アプリレベルではなく、OSレベルでセキュリティを強化している点」(モスCEO)。Androidのフレームワークを改良して、例えばAndroidの標準のAPIでは実現できないデバイス内部やSDカードデータの暗号化などを実現しているという。「AndroidがオープンなOSだからこそ、このようなソリューションを提供できる。他のOSでは標準のAPIを使ったソリューションしか提供できない。そのため法人ユーザーが100%安心できるのはAndroidだけ」(モスCEO)。

 ただしOSに改良を加えるため、Androidの最新OSへの対応に課題が生じる可能性もある。その点についてモスCEOは、「OSを改良している部分はほんのわずかであるため問題ない。例えばAndroid 2.2(Froyo)から2.3(Gingerbread)への対応は3日間で完了した」との考えを示した。

 KDDIは、Android向けのセキュリティサービスとして、2010年11月にISシリーズ向けにリモートデータ削除を、2011年2月にはリモートロックサービスを提供している。2011年6月からはリモートワイプと管理サービスを実現する「ビジネス便利パック for Android」を提供予定だ。今回の3LMとの提携は、デバイスの暗号化やデバイスの利用制限などの機能を加えるもので、「最終的には3LMのプラットフォームにAndroidのセキュリティサービスを統合していく予定」(KDDI ソリューション商品企画本部の中島昭浩モバイル商品企画部長)という。

 3LMのソリューションはAndroidのOSに改良を加えるため、端末側に準備が必要になる。その点について中島部長は「夏モデルの多くのAndroid端末が対応端末になる」と回答。既存端末についても、Over The Airのアップデートが可能な場合があるという。

[発表リリース]