NECは2011年2月28日、プライベートクラウド環境を構築するための基盤ソフト製品に関する強化方針を発表した。今年から2012年にかけて、ユーザー企業社内のプライベートクラウドと社外のパブリッククラウドの統合管理、運用の自動化、コンピュータ資源の自動的な配分やスケールアウトなどのためのソフトを提供。社内外の異種クラウド環境をまとめて、業務システムのコストやサービスレベルに応じて最適なコンピュータ資源を利用できるようにする。第一弾として3種類のソフト製品を、2011年8月から10月にかけて、順次出荷する。

 「顧客企業がクラウドに抱く期待が、徐々に変わりつつある。これまではパブリッククラウドとプライベートクラウドをそれぞれ使い分けることを念頭に置く企業が多かった。それが最近では、両者を統合したハイブリッド型を志向する企業が増えている」。同社の小室博ITソフトウェア事業本部統括マネージャーは、基盤ソフト強化の背景をこう語る。必要な資源を必要に応じて利用できる環境を構築・運用するため、「社内か社外かの区別なく、クラウド環境全体を把握して、業務システムなどの要求に基づいてリソースを割り当てることのできる機能を提供する」(小室氏)。

 この考えに基づき、NECは2011年から2012年にかけて、基盤ソフトを段階的に強化していく。第一弾として3種類のソフト製品を発表した。統合監視ソフト「WebSAM Cloud Manager」は、ヴイエムウェアや日本マイクロソフトなどの異なる仮想化ソフトで構築したプライベートクラウド環境の稼働状況を、同一のコンソールから監視できる。「WebSAM vDC Automation」は運用管理ソフト。仮想化したコンピュータ資源の配分や運用を自動化する。「InfoFrameクラウド指向データベース(仮称)」は、キー・バリュー型データストア(KVS)に分類されるインメモリーデータベースである。2012年度以降も、サービスレベルに応じた資源の自動配分や資源の自動拡張など、基盤ソフトの強化を続ける。

 NECはCloud ManagerとvDC Automationを、売り切りではなく使用量に応じた従量課金制で提供する。Cloud Managerの月額料金は、基本部分が25万円から、従量部分が1ID当たり50円から。vDC Automationは管理対象サーバー1台当たり月額7000円から。InfoFrameは一般的なデータベース製品と同様に売り切り型のライセンス体系を採用し、価格は1560万円からである。月額料金での提供も検討している。