日本でもKDDIから2011年4月上旬以降に発売されることになった、米モトローラ・モビリティのAndroid 3.0(Honeycomb)搭載タブレット「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」(関連記事)。日本市場で発売されるモトローラ製のコンシューマ向けモバイル端末は、2006年末にNTTドコモから発売された「RAZR」のカスタマイズモデルである「M702iS」と「M702iG」以来、実に約4年振りとなる(関連記事)。

 その間、モトローラは端末事業の不振に陥り、2011年1月4日には携帯電話やセットトップボックスなど家庭向け機器を扱う米モトローラ・モビリティと、業務用無線などのソリューションを扱う米モトローラ・ソリューションズに分社化された。だが、そうした激動の時代にいち早くAndroidへのシフトを進めたことで、世界の端末市場のスマートフォンへの移行の波に乗り、復活を遂げつつある。

Android 3.0搭載のタブレットで日本市場に再参入を狙う

写真●米モトローラ・モビリティのスピロス・ニコラコポウロス氏
写真●米モトローラ・モビリティのスピロス・ニコラコポウロス氏
[画像のクリックで拡大表示]

 そんなモトローラ・モビリティが2011年2月28日、KDDIの発表会に合わせて、同社の戦略を説明する記者会見を開催。同社インターナショナル・ディストリビューションマーケット担当バイスプレジデント&ジェネラルマネージャーのスピロス・ニコラコポウロス氏(写真)は、XOOMで日本に事実上再参入したことについて、「他の成熟市場と同じく、日本市場はフィーチャーフォンからスマートフォンへと急速に移行している。モトローラはこの分野に注力しており、XOOMを出すことによってリーダーシップを見せたかった」と語った。

 今回発売するXOOMは、米国で発売されるモデルとは異なり、3G回線には対応しておらず、通信方式は無線LANのみとなる。この点についてニコラコプロス氏は「無線LANモデルのほうが接続のフレキシビリティを確保できるため」とする。また無線LANモデルにもかかわらずKDDIと組んで販売することについては、「タブレット端末は日本ではまだ新しい分野であり、しっかりとしたポジショニングが必要。KDDIとモトローラでは、この製品をどのように売っていくのか、共通の理解があり、KDDIは市場でリーダシップも持っている。そのため互いが組むことにした」(同)という。

 XOOMでいち早く搭載したAndroid 3.0に対してはこだわりがあったようだ。「2010年の段階でモトローラがタブレットを発表しなかったのは、タブレットに最適化されたAndroid 3.0(Honeycomb)をどうしても載せたかったため。昨年タブレットを発表していたら、Honeycombへのアップグレードは難しかった」(同)。

他社のAndroid端末にないクラウドサービスを提供

 Androidの波に乗るモトローラだが、その一方でAndroidではスマートフォンのコモディティ化が進み、メーカー間で端末を差異化しづらくなるという現実もある。この点について同社も危機意識を持っているようだ。「魅力的なハードウエアに加えて、ユーザーの使用感を向上したり、クリエーションを手助けするような要素が必要になる」(同)。これらを実現するために、同社はクラウド関連の大きな投資を検討したり、関連する企業を買収したりしている。具体的には同社は、2010年12月に「ZumoCast」というクラウドストレージを提供する米ゼクターというスタートアップ企業を、2011年2月には米3LMというスマートフォンのセキュリティ関連の企業をそれぞれ買収するなど手を打ち始めている。

 タブレット端末で日本再参入することになったモトローラだが、スマートフォンについても「チャンスがあれば、XOOMの補完的な製品として日本市場にも投入を検討していきたい」(同)という。