「松江オープンソース活用ビジネスプランコンテスト2011」の最終審査会が2011年2月19日、松江市で開催された。学生部門の最優秀賞に松江商業高校 片寄千里氏の手相占いサービス「心に響くonly your hands」、一般を対象としたビジネス活用部門の最優秀賞に松江商業高校とシステム工房エムの協同企画「Android端末で持ち歩くデジタルカタログ」が選ばれた。

 同コンテストはオープンソースソフトウエアを生かしたビジネスのアイディアを競うコンテスト。主催は、松江市と、島根県でオープンソースソフトウエア(OSS)による関わる企業や個人による組織「しまねOSS協議会」。2008年に第1回が開催され、今年が3回目となる。今回はビジネス活用部門7件、学生部門29件の応募があり、その中から各部門4組、合計8組が最終審査会でプレゼンテーションを行った。

学生部門は「携帯電話で手相占い」や「位置情報俳句SNS」が受賞

学生部門の最優秀賞を受賞した松江商業高校 片寄千里氏の携帯電話手相占い「心に響くonly your hands」
学生部門の最優秀賞を受賞した松江商業高校 片寄千里氏の携帯電話手相占い「心に響くonly your hands」
[画像のクリックで拡大表示]

 学生部門の最優秀賞を受賞した松江商業高校 片寄千里氏の「心に響くonly your hands」は、携帯で手のひらの写真を撮って送信し手相占いを受けられるサービスである。コンピュータによる自動判定に加え、有名な占い師による占いも提供することで差別化を図る。

 優秀賞は松江商業高校 竹本一彦氏の位置情報を活用した俳句SNS「うたいびと」。俳句や川柳を、読んだ場所とともに投稿できる。旅行などの広告を収入源とする。

 奨励賞は2組が受賞した。1つは松江工業高専の松本・山本チーム、女性2人組のアイディア「着信フィルター」。迷惑メールフィルタのように迷惑な電話を拒否できるサービス。ブラックリストに載っている電話番号を赤、自分の携帯に登録済みの番号を青、それ以外の番号を黄色と、信号のように安全度を表示する。

 奨励賞のもう1つは、松江工業高等専門学校 川島・赤間チームのアイディア「一人暮らしの見守りツイート」。カメラで人の動きを感知し、「起きた」などTwitterへの投稿を行う。ひとり暮らしのお年寄りなどの無事を知ることができるサービスである。

ビジネス部門では「Androidでカタログ」や「クラウド型ヘルプデスク」

一般を対象としたビジネス活用部門の最優秀賞に選ばれた松江商業高校とシステム工房エムの協同企画「Android端末で持ち歩くデジタルカタログ」
一般を対象としたビジネス活用部門の最優秀賞に選ばれた松江商業高校とシステム工房エムの協同企画「Android端末で持ち歩くデジタルカタログ」
[画像のクリックで拡大表示]

 一般を対象としたビジネス活用部門には、生徒が学生部門に多数応募している松江商業高校の先生も参戦した。地元企業であるシステム工房エムと組み「Android端末で持ち歩くデジタルカタログ」を応募、最優秀賞を獲得した。プランだけでなく、すでにプログラムも作成済み。フレームワークにRhodesを使ってRubyで開発した。日本Androidの会が2011年1月に開催したAndroid Bazaar and Conference 2011 Winterに出展したところ商談が決まり、現在カスタマイズ中という。

 ビジネス活用部門の優秀賞に選ばれた野坂秀和氏のビジネスプランは「クラウド型ヘルプデスクサービス」。クラウドを介して時間と知識のある技術者が答えることで低コストで使えるサポートサービス。検証環境もクラウドを利用することでコストを抑える。かつてメーカーでサポートを担当していた経験から考えたという。

 ビジネス活用部門の奨励賞となったイーストバックのビジネスプラン「どぅー・みー・あ・ふぇいばー」は、軽作業のオークションサービス。ひとり暮らしのお年寄りが電球交換や家具運びなどを頼むことができる。同社代表取締役 倉橋徹氏がかつて松江に母親を残し東京で働いていた経験などから発想したという。

 同じく奨励賞の高田良佳氏のビジネスプラン「stickers」は、現実の看板などで行うアフィリエイトサービスである。看板に書いた電話番号に続く識別番号でどの看板から注文があったか判別する。

副賞は「クラウド1年分」

松江市の松浦正敬市長による賞品目録贈呈
松江市の松浦正敬市長による賞品目録贈呈
[画像のクリックで拡大表示]

 受賞者には、学生部門の最優秀賞5万円、ビジネス活用部門の最優秀賞には10万円などの賞金が贈られたほか、最終審査会でプレゼンした8組に、副賞としてIIJからクラウドサービス使用権1年分が提供された。IIJは松江市で外気冷却方式のコンテナ型データセンター「IZmo」の設置を進めている。

 表彰式で賞品目録を贈呈した松江市長の松浦正敬氏は「松江市はオープンソースのRubyを核としたIT産業振興を進めている。高齢化や観光振興、農業の活性化など地域の課題にITを活用して取り組んでいきたい」と挨拶。客席にはRubyの作者まつもとゆきひろ氏も姿を見せていた。