図1 「Snapdragon」シリーズの第4世代品となる3品種を発表
図1 「Snapdragon」シリーズの第4世代品となる3品種を発表
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図2 Snapdragonの第3世代品である「MSM8660」を搭載したスマートフォン型の試作機を使ったデモ。2コア品を使うことで,1コアで動作させる場合に比べて消費電力を60~70%程度減らせる様子を見せた。それぞれのCPUコアに割り当てられた処理の負荷を推定し,各コアの動作周波数を非同期で動的に変える技術を適用することで実現したという。この動作周波数制御技術は,今回発表した次世代品にも適用される
図2 Snapdragonの第3世代品である「MSM8660」を搭載したスマートフォン型の試作機を使ったデモ。2コア品を使うことで,1コアで動作させる場合に比べて消費電力を60~70%程度減らせる様子を見せた。それぞれのCPUコアに割り当てられた処理の負荷を推定し,各コアの動作周波数を非同期で動的に変える技術を適用することで実現したという。この動作周波数制御技術は,今回発表した次世代品にも適用される
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 米Qualcomm Inc.は,携帯機器向けの統合型プロセサ「Snapdragon」シリーズの次世代品を発表した(英文の発表資料)。新しいマイクロアーキテクチャのCPU「Krait」(開発コード名)を採用して動作周波数を最大2.5GHzに高めるほか,GPUの描画処理性能も引き上げる。

 Kraitは,「スーパースカラ構造を採る,モバイル用途に最適化したCPUコア」(Qualcomm CDMA Technologies, SVP, Marketing and Product ManagementのLuis Pineda氏)であるという。28nm世代の製造技術を適用し,最大で2.5GHzで動作する。現行のSnapdragonシリーズが採用するCPU「Scorpion」と同様に,命令セット・アーキテクチャとしてARMv7を採用し,マイクロアーキテクチャを独自に開発した。「従来のCPUに比べて,演算性能が150%向上し,消費電力が65%減少する」(Pineda氏)と説明している。

 Qualcomm社は今回,Kraitを採用した製品を3品種発表した。(1)最大2.5GHzで動作する4個のKraitコアと,2億ポリゴン/秒の描画性能を持つGPU「Adreno 320」などを集積するアプリケーション・プロセサ「APQ8064」,(2)2個のKraitコアとAdreno 225(描画性能は1億3000万ポリゴン/秒),LTEおよび3Gに対応するベースバンド処理回路などを集積した統合型プロセサ「MSM8960」,(3)1個のKraitコアとAdreno 305,LTEおよび3G対応のベースバンド処理回路などを集積した「MSM8930」,である。いずれも無線LAN,GPS,Bluetooth,FMの無線通信機能を内蔵する。

 APQ8064に移動通信のモデム機能を搭載しないことについてQualcomm社は,「APQ8064のようなハイエンド品を適用する機器では,移動通信機能が不要で無線LANだけで構わない場合がある。顧客(機器メーカー)が選択できるようにしたいと考えた」(Pineda氏)と説明する。Qualcomm社は「APQ」の型番をつけた移動通信機能なしのアプリケーション・プロセサをSnapdragonの第3世代品でも提供しており,その「APQ8060」は米Hewlett-Packard社のタブレット端末「HP TouchPad」に採用されたという。

 Qualcomm社は,MSM8960のサンプル出荷を2011年第2四半期に開始する。MSM8930とAPQ8064のサンプル出荷は2012年初頭を予定する。