写真1●「DOCOMO's Actions for New Growth:Embedded Mobile」と題して講演するNTTドコモの山田隆持代表取締役社長
写真1●「DOCOMO's Actions for New Growth:Embedded Mobile」と題して講演するNTTドコモの山田隆持代表取締役社長
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写真2●左からカナダ リサーチ・イン・モーション(RIM)のジム・バルシリエ共同CEO、フィンランド ノキアのステファン・エロップCEO、米クアルコムのポール・ジェイコブスCEO、NTTドコモの山田隆持代表取締役社長
写真2●左からカナダ リサーチ・イン・モーション(RIM)のジム・バルシリエ共同CEO、フィンランド ノキアのステファン・エロップCEO、米クアルコムのポール・ジェイコブスCEO、NTTドコモの山田隆持代表取締役社長
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 「M2M(Machine to Machine)マーケットが日本で急成長している」―――。NTTドコモの山田隆持代表取締役社長は、バルセロナで開催中のMobile World Congress 2011の基調講演で日本での携帯組み込み市場の状況などを説明した(写真1)。講演は「Connecting the Dots - A 360° View on Consumer Electronics」をテーマに、米クアルコムのポール・ジェイコブスCEO、フィンランド ノキアのステファン・エロップCEO、カナダ リサーチ・イン・モーション(RIM)のジム・バルシリエ共同CEOおよびNTTドコモの山田社長が順に登壇。テーマに沿った話を展開した。

 クアルコムのジェイコブスCEOは、70%の家電が2014年までにインターネットに接続するようになるといった見方を示し、ノキアのエロップCEOは主に新興市場における決済などを解説。RIMのバルシリエ共同CEOは、BlackBerryのアプリマーケットの決済手段としてキャリア課金をできるようにする方針などを話した。

 続いて登壇した山田社長は、「DOCOMO's Actions for New Growth:Embedded Mobile」と題して講演。2011年3月にデータARPU(Average Revenue Per User)が音声ARPUを超える、さらにこれらを合わせた総合ARPUが2012年には上昇基調に乗るといった状況を説明。データARPUに関連し、M2Mマーケットが日本で急成長しており、その中でNTTドコモが40%超のシェアを占めているとした。

 山田社長は新成長分野として、(1)データARPUを上げるスマートフォン、(2)大量のトラフィックを収容するLTE、(3)組み込み分野――を挙げた。組み込み分野に関しては、日本での取り組みを紹介。大日本印刷と共同で実施している電子書籍サービスや、自動販売機への組み込み事例などを説明した。自販機の事例については、14万台の清涼飲料水などの自動販売機、42万台のたばこの自動販売機に、NTTドコモの通信モジュールが組み込まれていると実数を挙げた。

 会場の関心が高かったのが、日産の電気自動車「リーフ」(LEAF)への組み込み事例である。山田社長は今後、自動車への搭載はさらに増えるとし、渋滞情報などが携帯電話網を介してやりとりされるといった例を挙げた。こうした日本市場での取り組みを一通り紹介した後、「過去10年間はモバイルコミュニケーションの可能性を追求していたが、これからの10年はモバイルコミュニケーションを核とした網羅的なサービス提供者(comprehensive service provider)になることを目指す」といったビジョンを示して講演を締めくくった。

 講演後のディスカッション(写真2)では、ネットワーク側で翻訳サービスの提供を検討をしていると語った山田社長に対して、米グーグルの翻訳サービスとの競争を問われた場面もあった。山田社長は、「ネットワークの中のクラウドとして翻訳サービスを提供する。我々はネットワークを熟知しており、十分勝負できる」と回答。また、今後の携帯電話の加入者数については、M2Mにより再び増加フェーズに突入するとの見方を示した。