写真●クアルコムが初公開した新ダイレクト通信方式「FlashLinq」のデモ
写真●クアルコムが初公開した新ダイレクト通信方式「FlashLinq」のデモ
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 米クアルコムは、2011年2月14日からスペインバルセロナで開催されている「Mobile World Congress 2011」にて、新たなP2Pの無線通信方式「FlashLinq」のデモを初公開している。

 FlashLinqは、同社が独自開発したP2Pのダイレクト通信方式。無線LANを利用したダイレクト通信方式として既に登場している「Wi-Fi Direct」がアンライセンスバンドを使うのに対して、FlashLinqはライセンスバンドでの運用を想定している点に違いがある。また無線方式にはTDDのOFDMを用いることで、半径1kmの中に存在する1000個以上のFlashLinq搭載のデバイス同士が互いに認識し合い、ダイレクトに通信できるという。デバイス間通信のセキュリティ確保には、IETFで標準化されている「IKE」(Internet Key Exchange) を使う。

 FlashLinqのもう一つの特徴は、 省電力性を追求している点だ。「GPSを利用してデバイスが同期し、同期したタイミングだけ相手を認識し合う」(クアルコム)。このため、定期的にビーコンを発信している無線LANと比べて、省電力性に優れるというわけだ。

 デモでは、FlashLinqのモジュールを接続したスマートフォン同士が通信し、ソーシャルネットワークのアプリケーションを介してメッセージをやり取りする様子を見せた(写真)。また位置によって、アプリケーションに配信する広告を変更できるシステムも用意していた。

 FlashLinqの応用範囲としては、デモで見せたソーシャルネットワークのほか、M2Mのような利用も想定している。ただし、FlashLinqが商用化されるためには、周波数帯の確保が必要だ。クアルコムはそれに向けても一手を打っている。同社は韓国の通信事業者SKテレコムとFlashLinqのトライアルを実施する予定という。

クアルコムのニュースリリース