写真●ノキアシーメンスネットワークスのラジーブ・スーリCEO
写真●ノキアシーメンスネットワークスのラジーブ・スーリCEO
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 「TD-LTEは人々が考えている以上に広がる可能性がある。日本でも2011年の第2四半期にTD-LTEのテストを開始する」---。フィンランドの大手通信機器ベンダーであるノキアシーメンスネットワークスのラジーブ・スーリCEO(写真)は2011年2月14日、バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2011」(MWC 2011)で、メディアおよびアナリスト向けに開催した会見で、このような見通しを披露した。

 TD-LTEが世界に広がる理由としてスーリCEOが挙げたのは、上り回線と下り回線に一対の周波数帯域を必要としない「アンペアバンド」の存在だ。

 「世界には多くのアンペアバンドが残っている。アンペアバンドはFDDのシステムには利用できないものの、TDDのシステムには利用できる。TD-SCDMAやモバイルWiMAXなどTDD方式の技術を採用する事業者は、既存の周波数帯を利用してTD-LTEへと移行できる。TD-LTEはFDDのLTEと90%以上の互換性があり、チップセットの共通化など多くのメリットがある」(スーリCEO)。

 特に中国、インドおよび日本がTD-LTEを推進する見通しであるとした。

 この会見の直後、ソフトバンクはMWC 2011の会場近くで中国移動やインドのバーティエアテルなどと共同で、TDDの推進団合「Global TD-LTE Initiative」(GTI)を設立した。ソフトバンクの孫正義社長は、子会社のWireless City Planningを通して展開する次世代XGP事業について、「TD-LTEと100%互換性がある」と発言している(関連記事)。

 スーリCEOの発言は、これらの動きを見てのことだろう。孫社長はあくまで次世代XGPとしての展開を強調した形だが、世界の有力ベンダーからは日本はTD-LTEを推進すると、とらえられているようだ。