日本IBMは2011年2月14日、データベースやデータウエアハウス製品などを担当する「インフォメーション・マネジメント事業」に関する方針説明会を開催し、2011年は「Hadoop」や「ストリームコンピューティング」など、爆発的に増大する情報(ビッグデータ)を管理・活用するソリューションを拡大する方針を明らかにした。

 同社のインフォメーション・マネジメント事業は、データベースの「DB2」「DB2 pureScale」「Informix」や、「InfoSphere」ブランドのデータ管理製品、2010年に買収したデータウエアハウス(DWH)製品「Netezza」などで構成される。同社インフォメーション・マネジメント事業部長の俵雄一氏は、「ビッグデータを管理・活用するためには、構造化データの管理に向いたリレーショナルデータベース(RDB)やDWHだけではなく、構造化されていない(非構造化)データを高速に取り扱える新しいソリューションが必要」として、オープンソースソフトウエア(OSS)の分散バッチ処理ソフトHadoopを使ったシステム構築などを本格化させる意向を示した。

 米IBMは既に、IBM版のHadoopの「ディストリビューション」(検証済みパッケージ)である「IBM Distribution of Apache Hadoop(IDAHO)」を公開済み。また、GUIツールを使ってHadoopアプリケーションを開発できる「InfoSphere Big Insights」といったHadoopミドルウエアも、2011年中に製品化する予定だ。これらの製品リリースとともに、Hadoop関連ビジネスを開始する。

 また俵氏は、「Hadoopだけではビッグデータのかかわる問題をすべて解決できない」として、Hadoopに加えて、ストリーミングコンピューティングを実現する製品「InfoSphere Streams」の普及にも力を入れると語った。ストリーミングコンピューティングとは、大量に発生するデータを、ストレージに記録する前にメモリー上で処理するという方式である。高速の証券取引処理や気象予測処理などに力を発揮する。「既に日本でも、InfoSphere Streamsを使ったシステム構築が何件か始まっている」(インフォメーション・マネジメント事業部の中林紀彦マーケティング・マネージャー)と言う。

 このほか同社は、インフォメーション・マネジメント事業部内に、業種・業界に特化した新組織を設立したことや、インフォメーション・マネジメント事業部の製品を販売するパートナーを支援する「パートナー営業部」を新設したこと、インフォメーション・マネジメント製品を導入した場合の投資効果を無償で診断するサービスなどを開始したことを明らかにしている。

 また同日付で、データベースのセキュリティ保護を行うアプライアンス製品の新バージョン「InfoSphere Guardium V8」も発表した。同製品は、様々なデータベースのログを監視することで、データベースへの不正アクセスなどを遮断するもの。データベースサーバーにエージェントソフトをインストールして、データベースへのアクセスをリアルタイムでモニタリングし、ポリシーに違反するアクセスを遮断する。

 対応するデータベースは、DB2やInformix、Netezzaといった同社製品のほか、「Oracle Database」「Microsoft SQL Server」「Sybase ASE」「Sybase IQ」「Teradata」といった他社製品、「MySQL」「PostgreSQL」といったOSSなど幅広い。