写真●Mobile World Congress 2011の会場となるスペイン・バルセロナのバルセロナ見本市会場「Fire de Barcelona」では、急ピッチで準備が進んでいる
写真●Mobile World Congress 2011の会場となるスペイン・バルセロナのバルセロナ見本市会場「Fire de Barcelona」では、急ピッチで準備が進んでいる
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 世界最大級の携帯電話関連の展示会「Mobile World Congress(MWC) 2011」(MWC)が,間もなくスペイン現地時間の2011年2月14日に開幕する。会期は2月14日~17日の4日間。会場となるスペイン・バルセロナの見本市会場「Fire de Barcelona」では、急ピッチで準備が進んでいる(写真)。

 現在、世界のモバイル業界は急速な変化の波にさらされている。スマートフォンへの急速なシフト、そして上位レイヤーのプレーヤーによるビジネスの急拡大だ。これまで通信事業者や通信機器ベンダーが主役の展示会だったMWCも、変化の波を受けて徐々にその姿を変えているようだ。

 まず会期直前の2月11日、世界最大の端末事業者であるフィンランドのノキアが、米マイクロソフトと戦略提携をするというビッグニュースが飛び込んだ。ノキアのスマートフォンのプラットフォームとして、マイクロソフトの「Windows Phone 7」をメインに採用するというのが主な提携内容だ。ほんの2年前まで、ノキアは端末の世界の最強プレーヤーとして世界のモバイル業界に君臨していた。だがスマートフォンへの波に乗り遅れ、一転してこの1年は苦境に立たされていた。今回のMWCでは、ノキアの動きのように攻め込まれる立場となった旧来のプレーヤーたちの生き残りにかけた動きが見られそうだ。

 変化の波は、MWCのキーノートスピーチにも見られる。かつては通信事業者や通信機器ベンダーが登壇することが多かったキーノートスピーチは、今年は米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO、米Twitterのディック・コストロCEO、米グーグルのエリック・シュミットCEOらインターネット系プレーヤーが占めることになった。グーグルのシュミットCEOは、昨年もキーノートスピーチに登場。昨年は来場者から「グーグルは通信事業者の収益を奪おうとしているのか」という質問が浴びせられるなど、いわば証人喚問のようにアウェイ感が溢れるセッションだった。だがこの1年の間にAndroid採用端末は急拡大し通信事業者にとって欠かせないツールとなった。通信事業者など旧来のプレーヤーはグーグルのようなプレーヤーといかにアライアンスを組むのかがポイントとなっている。今年のキーノートスピーチは、そんな変化を映す場になりそうだ。

 MWCに合わせて、スマートフォンやタブレット型の新機種も続々と登場しそうだ。会期の前日に当たる2月13日の夜には、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズや韓国サムスン、ノキアがプレスカンファレンスを予定している。さらには韓国LGエレクトロニクスや台湾HTC、中国ZTE、中国華為技術なども会期中に端末関連のプレスカンファレンスを開催予定だ。かつては世界市場で発売される端末はなかなか日本市場に流通することは無かった。しかしスマートフォンの時代に入って一変。MWCで発表された端末は日本市場でも発売される可能性が高くなっている。ぜひ注目していきたい。

 新技術では、NFC(Near Field Communication) が注目を集めそうだ。日本では「おサイフケータイ」として既に広がっているが、Android 2.3がNFCをサポートしたことで、世界でも急速にサービス開始に向けた動きが加速している。おサイフケータイを日本で広げたNTTドコモも、今回のMWCで韓国KTと共同でNFCの利用イメージを紹介するという。NFCをサポートする端末も続々と発表される見通しだ。

 このような世界の動きに対して、日本勢はNTTドコモやNECなどがブースを出展。キーノートセッションに、NTTドコモの山田隆持社長やソフトバンクの孫正義社長が登壇する。ITproでは会期前日の2月13日から5日間にわたって,現場からリポートをお届けする予定だ。

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