富士通は2011年2月9日、要件定義手法「Tri-shaping(トライ・シェイピング)」を発表した。同社の30年以上の要件定義のノウハウを集大成したもので、具体的な手順や進め方に踏み込んでいるのが特徴だ。「新手法を使えば要件定義に起因するバグを半減できる」と、若杉賢治 システム生産技術本部 本部長代理は話す。この4月から富士通グループの3億円以上のプロジェクトで適用していく。

 Tri-shapingは三つの手法で構成する。一つ目は、「shapingBR(Business Requirement)」。要件定義で最初に使う手法で、経営層や業務部門の要求を5階層に整理してまとめる。環境や社会貢献分野などもステークホルダー(利害関係者)として扱えるという。

 二つ目は、経営層の要求に沿って業務プロセスを定義する「shapingBP(Business Process)」である。幹となる業務と、その枝葉の業務を分けて考えることで、シンプルで柔軟な業務プロセスを定義できるとしている。

 三つ目は、要件定義の最後に実施する「shapingBS(Business Specification)」だ。業務プロセスをシステム化するときに使う業務仕様を定義する手法で、業務ルールの抜けや漏れ、あいまいさを排除する手順を盛り込んだ。

 各手法を支援するツールとして、手順書や分析シートなど15種類を用意した。富士通はTri-shapingを持って「要件定義で実施すべき“枠”は固まった」(若杉本部長代理)としており、適用できる人材育成を急ぐ。さらに、発注者側のスキルアップも欠かせないとして、2011年度下期からユーザー企業向けに研修サービスを提供する。