写真1●発表会の様子。登壇者は米クラウドエンジンズのダニエル・プッターマンCEO
写真1●発表会の様子。登壇者は米クラウドエンジンズのダニエル・プッターマンCEO
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●パーソナルクラウド構築用デバイス「Pogoplug」(背面からのショット)
写真2●パーソナルクラウド構築用デバイス「Pogoplug」(背面からのショット)
[画像のクリックで拡大表示]

 米クラウドエンジンズは2011年2月2日、東京で記者向け発表会を開催し、USB接続のハードディスクなどを使ってパーソナルクラウド環境を簡単に構築できる小型デバイス「Pogoplug」(ポゴプラグ)を発売することを発表した(写真1)。

 国内販売のパートナーシップ契約を結んでいるソフトバンクBBを通じて、インターネット通販のアマゾン(Amazon.co.jp)および量販店のソフマップ、ビックカメラ、ヨドバシカメラの3店舗の店頭で販売する。販売開始日は2月4日。価格はオープンだが、クラウドエンジンズでは店頭価格を9800円程度と予想している。

 Pogoplugは、手のひらに載る小型の弁当箱ほどのサイズに、OSや各種サーバー機能、ネットワークおよびクラウドへの接続機能などを詰め込んだ多機能デバイス(写真2)。本体前面に1ポート、背面に3ポートの合計4ポート搭載するUSB2.0ポートにUSB接続のハードディスクドライブやUSBメモリーなどを接続することでNAS(Network Attached Storage)として使えるほか、写真や音楽、映像などを配信できるメディアサーバーなどの機能も備えている。これほど多機能でありながら、本体の消費電力はわずか4Wと非常に低消費電力なのも特徴だ。

 メディアサーバー機能は、LANあるいはインターネット上にあるパソコンやモバイル端末に対してコンテンツをストリーミング配信できる。動画を配信する際には、配信先の再生環境に合わせて最適なフォーマットに変換する「トランスコーディング」機能を利用可能。どんな内容なのか都度動画ファイルを開いて確認しなくても把握できるよう、冒頭の10秒間だけをサムネイル画面上で表示する「プレビュー作成」機能も備えている。

 家電機器向けの相互接続用規格「DLNA」(Digital Living Network Alliance)にも対応しており、DLNA対応の家電機器とも連携可能となっている。ただし、現状では著作権保護技術(DRM)であるDTCP-IPには対応していない。この点についてクラウドエンジンズでは、「要望が多ければ、日本市場向けに投入を考える」(ダニエル・プッターマンCEO)としている。

 共有フォルダにアクセスしてファイルを読み書きしたり、動画のストリーミング配信を受けたりといったPogoplug内のコンテンツへのアクセスには、パソコンおよびPS3やXbox 360などのゲーム機ではWebブラウザを利用する。iPhone/iPadやAndroid端末、BlackBerry、Palm Preなどのスマートフォンの場合は、無償で配布している専用アプリを利用できる。WindowsとMacintosh向けに、Pogoplugをローカルのドライブとして扱えるようにするユーティリティソフトも用意している。

追加費用なしで容量を無制限に拡張可能

 発表会で、同社が説明に並々ならぬ力を入れていたのがPogoplugの「設定の容易さ」である。同社によれば、Pogoplugを購入したユーザーが開封後にするべき作業は、(1)本体をLANケーブルでルーターとつないで電源を入れる、(2)本体のLEDランプが緑に点灯したら(クラウドへの接続が完了)、Webブラウザで「my.pogoplug.com」にアクセスしてユーザー登録(アクティベーション)をする――という二つの作業だけだという。

 セットアップに要する時間は「わずか60秒」(プッターマンCEO)。作業完了後、ユーザーはすぐにパーソナルクラウドを利用できる。同社では、ルーターやファイアウオールの設定変更などの面倒な作業は一切必要ないとしている。

 クラウドサービスでありながら、ハードウエアの購入費用以外は1円もかからないという「売り切り型モデル」を採用している点もPogoplugのユニークな特徴となっている。「消費者は、家電量販店などで一度だけお金を支払って物を購入するという買い方に慣れている。そこで、機器の購入代金以外に月額費用などがかからないこのモデルを採用した。利用するストレージ容量ごとのサービス利用料なども発生しないため、ユーザーは好きなだけ容量を拡張できる」(プッターマンCEO)。