金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所らが準備を進めてきた「新メディア・プラットフォーム協議会」(会長は同研究所所長の北谷賢司氏)は2011年1月26日、第1回の会合を開催し、活動をスタートさせた。この日の会合では、北谷氏が協議会の活動予定を説明するとともに、参加会員の顔ぶれが報告された。

 活動方針として大きく三つを挙げた。一つは、できるだけ多くの端末を利用したフィールドテストによるラジオ放送の難聴取対策への効果検証である。ブロードバンド経由の受信機能に加えてAM/FMチューナーも内蔵し、HDMIやD3端子を搭載するSTB(セットトップ・ボックス)型の対応小型端末を利用する。協議会に参加する各社に1台、モニタ用として配布する。また難聴取地域を中心に、数百台規模の配布を検討している。アンケートやヒアリングによる調査を実施し、実験終了後に検証結果を報告する。第2は、ブロードバンドを利用したや新たなコンテンツ配信効果を検証する。動画/静止画とテキストの親和性を調べる。また、サイマル放送の広告枠の効果計測を行う方針である。リモコンの十字キーのみで簡単に使える画面構成も検証対象とする。

 第3は、商用サービスに向けて、持続可能なサービス体系を議論し、低コストでのコンテンツ配信の実現方法を検討することである。効率的なサーバー運営による低コスト化に加えて、広告ワクや物販によって得た利益を分配することなどによって「参加企業の各社が潤うようなビジネスモデル」(北谷氏)を検討していく方針を説明した。「家庭用テレビを対象に、誰もが簡単に利用できるプラットフォームを構築したい」と述べた。

 参加メンバーは、テレビ局ではTBSテレビが参加し、赤坂サカスでの利用というB to Bのモデルを模索していく。ラジオ局としては、全国FM放送協議会およびその加盟各局、横浜エフエム放送である。配信は、東京、横浜、大阪、広島、福岡で実証実験を先行して開始する計画である。また、コミュニティ放送のえふえむ・エヌ・ワン、CS放送の事業者としてfashiontvを展開するJFCC、ケーブルテレビ事業者として東京ケーブルネットワーク(TCN)が参加した。

 レコードレーベルからは、ユニバーサル ミュージック合同会社、ビクターエンタテインメント、テイチクエンタテインメントの3社が参画した。コンテンツ制作会社としては、エス・エス・エムが参加した。通信販売会社のブルックスホールディングス、インターワールド(NTTドコモの子会社で通信販売大手のオークローンマーケティングの関連会社)、デジタルサイネージを展開するクロスオーシャンメディア、カーテンリース大手のキングラン、イベントプロデュースなど手がけるスノーアディクト、データセンターを運営するフェアーウェイ、ソフトウエア開発のアストラン、音楽・映像の制作編集事業者のビクタークリエイティブメディア、機器製造メーカーとして加賀電子とJVC・ケンウッド・ホールディングスである。

 なお、北谷賢司氏によると、「エンコーダ使用料は初期費用約23万円、月額約6万円と安価で、全国のテレビ向けに配信できる。またQRコードを使った携帯電話との連携も容易であり、携帯電話との相乗効果によるコマースやコミュニケーションが期待できる。参加手続きが間に合っていないところもあり、今後も会員は増加する見通し」という。

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