総務省が700M/900MHz帯の再編を迅速に進めるために、今通常国会に提出する電波法改正案の詳細が明らかになった(関連記事:700M/900MHz帯の再編方針固まる、FPUやラジオマイクを移行し最大100MHz幅確保へ)。

 総務省の政務三役は、2010年12月14日に開催されたICTタスクフォースの政策決定プラットフォームで、主に700M/900MHz帯の再編に関連して「ワイヤレスブロードバンド事業者による既存の周波数利用者の移行コスト負担に関し、オークションの考え方を取り入れた制度を創設するため、関係法律の改正案を次期通常国会に提出する」という基本方針を打ち出している(関連記事:総務省が4Gの周波数を電波オークションで割り当てる方針示す、700/900MHz帯は見送り)。

写真●今通常国会に提出する電波法改正案の概要を記した総務省の資料
写真●今通常国会に提出する電波法改正案の概要を記した総務省の資料
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 それを受けての今回の電波法改正案だが、日経コミュニケーションが独自に入手した改正案によると“オークションの考え方”は具体的には記述されないことが判明した(写真)。開設指針の規定事項に「終了促進措置に要する費用の支弁方法」という一文が加わった程度にとどまっている。省令や規則などに左右される面が多く、法案からは“オークションの考え方”は見えてこない。

 関係者によると、この電波法改正案は既に内閣法制局の審査を経て、今週中に民主党の総務部会で審議。2月8日にも閣議決定される見込みという。このほか改正案では、電波利用料の料額の見直しも含まれている。

 周波数オークションについては、総務省政務三役が2010年12月に打ち出した基本方針で、第4世代移動通信システム(4G)などを対象に本格的に検討するとしていた(関連記事:電波オークション推進へ)。その道筋を付けるうえで、700M/900MHz帯を対象とした今回の電波法改正案の内容についても総務省政務三役は“オークションの考え方を取り入れた制度を創設する”と釘を刺した形になっていた。その点が見えてこない今回の改正案は、一部で波紋を呼びそうだ。