エンバカデロ・テクノロジーズは2011年2月1日、開発ツール製品「Delphi」「C++ Builder」の廉価版「Starter」の販売を開始した。「Delphi Starter」「C++ Builder Starter」の価格はそれぞれ1万8900円(税込、以下同)。Turboエディションをはじめとする同社の開発ツール、または他社のいずれかの開発ツールを使用している場合は1万4700円で購入できる。DelphiとC++ Builderには「Professional」「Enterprise」「Architect」といったパッケージがあるが、最も安いProfessionalでも9万3765円などで販売されており、入門者にはハードルが高かった。廉価版を投入することで、Delphi/C++ Builderのユーザー拡大を狙う。

 Delphi Starter、C++ Builder Starterにはいくつかの制限事項がある。商用にも利用できるが、開発したアプリケーションライセンスやサービスなどによる年間収益が1000米ドル(2011年1月31日の換算レートで8万2180円)を超えてはいけない。それを超える場合は、Professionalなどを購入する必要がある(Starterを買っていれば、上位製品購入時に1万500円の割引が受けられる)。

 Starterの両製品は、上位製品に比べると、データベース接続コンポーネント「DBEXPRESS」、データベース関連ツール、MicrosoftのクラウドWindows Azureへの接続コンポーネント、プロファイリング機能、Webアプリケーション開発機能、UML(Unified Modeling Language)関連機能などを含んでいない。リファクタリングの「名前の変更」をはじめとするコーディング支援機能のいくつかも削られている。

 Delphiは、Pascal言語を発展させたDelphi言語で開発を行える。C++ BuilderはC++で開発ができる。Visual BasicやC#と同様のビジュアル開発が可能で、必要なモジュールをEXEファイルにスタティックリンクすることで、ランタイム配布やインストーラ作成の手間を省けるのが特徴だ。Windowsアプリケーション開発の選択肢として、まだ有力な存在の一つと言えるだろう。