米セールスフォース・ドットコムは1月31日(米国時間)、企業向けミニブログサービス「Chatter」の無料版である「Chatter.com」を公開した。元々は同社の有償版SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)である「Salesforce CRM」の付加機能だったChatterを、誰でも無料で利用できるようにした。

 Chatterは一般消費者向けのミニブログである「Twitter」の、企業向け版と言えるクラウドサービス。短いメッセージを投稿・公開することで、利用者間でリアルタイムに情報共有できるようにする。ただし、Twitterと違ってメッセージを閲覧・検索できるのは同一のドメインにあるネットワーク内のみである。

 無料版を使う場合、利用者はChatter.comのWebサイトから自社のメールアドレスを登録する。すでに誰かが自社のメールアドレスのドメインを利用登録している場合は、そのままChatterを使えるようになる。登録できるのは企業や組織の有効なドメインを持つメールアドレスのみで、無料のWebメールは登録できない。

 セールスフォースは無料版に加えてChatterのサービス単体を有料でも提供する。有料版の料金は利用者1人当たり15ドル。無料版と有料版では、フォローできる情報の種類が異なる。無料版では利用者のメッセージのみフォロー可能。有料版は、さらに「オブジェクト」もフォローできるようになる。文書ファイルや業務アプリケーションのデータ項目など、Salesforce CRMで保存・管理しているデータの更新情報を把握できる。

 セールスフォースが無料版Chatter.comで採ったビジネスモデルは、「フリーミアム」と呼ばれる。基本機能は無料で提供し、高機能版を有料で提供するというもので、無料版で顧客企業を引き込み、有料版をの利用者を順次増やして収益拡大を狙う。

 なお無料版ChatterのCMを、米プロフットボールリーグ「NFL」の決勝戦である「スーパーボウル」のハーフタイム中に放映する。同CMは1秒当たりの広告料金が世界で最も高いとも言われ、過去には米アップルや米グーグルなどのCMも放映された。