写真1●NTTドコモの山田隆持社長
写真1●NTTドコモの山田隆持社長
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 NTTドコモは2011年1月28日、2010年度の第3四半期決算を発表した。売上高は第3四半期までの累計で、対前年同期比1.0%減の3兆2091億円、営業利益は同7.9%増の7585億円の減収増益だった。

 NTTドコモの山田隆持社長(写真1)は、この日の説明のほとんどをスマートフォン関連の説明に費やした。山田社長は「スマートフォンに対するお客の関心や要望は大きい。スマートフォンの大きなうねりを捉えていきたい」と語り、スマートフォン市場にますます注力していく姿勢を見せた。会見ではその方針を裏付けるように、スマートフォン市場が急成長していることが明らかになった。

「12月のスマートフォンの販売シェアはドコモが1位」

写真2●スマートフォンの販売台数
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 まずドコモにおけるスマートフォンの販売台数は、3Qまでの累計で126万台。「先週末の1月23日まででは150万台に達している」(山田社長)という。期初の目標ではスマートフォンの年間販売目標は100万台で(関連記事)、その後130万台に上方修正したが、その数字も超えたことになる。山田社長は「今年度末までにさらに100万台追加して、250万台を新たなスマートフォンの販売目標にしたい」とした。

 特に複数のスマートフォンをそろえた11月以降に、販売が急速に伸びている。3Q単独でのスマートフォンの販売台数は70万台、12月単月では45万台のスマートフォンが売れたといい、GfK Japanの調査結果によると「12月のスマートフォンの販売シェアはドコモが1位」(山田社長)という(写真2)。

写真3●パケット収入に占めるiモード端末、スマートフォン、PCカードの割合
写真3●パケット収入に占めるiモード端末、スマートフォン、PCカードの割合
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 好調なスマートフォンの販売がパケットARPU増につながっている。3QのパケットARPUは、対前年同期比4.1%増となる2540円。パケット収入の内訳は3Qまでの累計ではiモード端末からの影響が一番大きいが、3Qではスマートフォンの影響が一番に切り替わっている(写真3)。ただ、パケットARPU増が、減少傾向にある音声ARPUを補うには至らず、総合ARPUは同6.2%減の5130円となっている。

スマートフォン向け新料金プランを投入

写真4●スマートフォン向けの新料金プラン
写真4●スマートフォン向けの新料金プラン
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 例年4Qに最も端末の販売台数が伸びることから、スマートフォン向けの新たな料金プランを3月15日から開始することも明らかにした。現行のパケ・ホーダイ ダブルよりも上限が525円安いフラット型の「パケ・ホーダイ フラット」と、同じ2段階定額だが2段階部分の傾斜を緩くした「パケ・ホーダイ ダブル2」の2タイプを投入する(写真4)。

 さらにソフトバンクモバイルが提供する「月月割」と同じく、機種に応じて毎月一定額を割り引く「月々サポート」も3月15日から開始する。「現在は端末購入時に一括の割り引きをしているが、端末が増えると収支に対する影響が大きい。それを平準化する目的があるほか、ユーザーがスマートフォンを買いやすくなる効果もある」と山田社長は説明する。なお今後は、2台目の端末を契約したユーザーに対してプラスαの割り引きをすることなども検討したいという。

 山田社長は2011年度の同社のスマートフォン戦略の見通しについても触れた。「今年度は250万台と上方修正したが、現時点で来年度はその倍以上の600万台前後になると予測している」(山田社長)。ラインアップも拡充し、2011年度の新商品の半分はスマートフォンになる予定という。また山田社長は、かねてから「2013年度にはスマートフォンと通常の携帯電話の販売数の割合を逆転したい」(関連記事)と発言してきたが、今回その時期が「2012年度に早まるのではないか」(山田社長)という見通しも明らかにした。

 急速にシフトするスマートフォン重視の戦略を支えるために、社内体制の変更にも着手する。開発部隊の軸足をiモードからスマートフォンに移すほか、コールセンターもスマートフォン担当の割り合いを増やしていきたいという。

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