写真1●米フォーティネットのパトリス・ペルシェ、インターナショナルセールス&サポート統括 シニアバイスプレジデント
写真1●米フォーティネットのパトリス・ペルシェ、インターナショナルセールス&サポート統括 シニアバイスプレジデント
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写真2●フォーティネットジャパンの新免泰幸社長
写真2●フォーティネットジャパンの新免泰幸社長
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 セキュリティ機器ベンダー大手のフォーティネットジャパンは2011年1月27日、東京で記者およびアナリスト向けの説明会を開催し、同社が主力製品として販売しているUTM(Unified Threat Management、統合脅威管理)製品について、2010年の製品売り上げ実績や2011年の市場動向の予測などを披露した。説明会では、「ファイアウオールやVPN装置など単体のセキュリティ機器は将来全てUTMに吸収され、分類そのものがなくなる」という大胆発言まで飛び出した。

 まず登壇したのは、米フォーティネットのインターナショナルセールス&サポート統括部門でシニアバイスプレジデントを務めるパトリス・ペルシェ氏である(写真1)。ペルシェ氏は、(1)2010年の全社売り上げ高が前年比33パーセント増と大幅に増加したこと、(2)2010年第3四半期(7月から9月)のUTM世界市場におけるシェアが15.8パーセントで第1位だったこと、(3)2010年のセキュリティアプライアンス世界市場の成長率が4.7パーセント増だったのに対して、同社は21.5パーセントと桁違いに高い成長率を達成できたこと---などを紹介。ビジネスが堅調なことをアピールした。

 続いてペルシェ氏は、2011年のUTM市場のトレンドについて予測を披露した。同氏によれば、「現在、市場のトレンドはシングルポイント(の防御)からUTMを求める方向に明確に向かっている」状況であり、大手セキュリティベンダーがこぞってUTM市場に参入してきているという。こうした状況のため、これから新規のセキュリティベンダーが市場に参入しても、生き残るのは難しいと予測した。「大手ベンダーによる買収が相次ぎ、マーケットの合従連衡が進むだろう」(ペルシェ氏)。

 同氏はまた、「2011年はファイアウオールやVPN装置など単体のセキュリティ機器とUTMの市場規模がついに逆転する節目の年になる」という調査結果を紹介。そうした変化に加えて、ユーザー側の意識も変化する年になるとした。「特に大手ユーザーの場合、これまではUTMを導入しても、ファイアウオールとして使うというケースが意外と多かった。しかし、これからはそうしたユーザーからも他の機能を積極的に使いこなそうという動きが出てくるだろう」(ペルシェ氏)。

主役がエントリークラスからミドルクラス以上に交代

 続いて登壇したのは、フォーティネットジャパンの新免泰幸社長である(写真2)。新免社長は、2010年のUTM市場の国内シェア(出荷金額ベース)において、同社製UTMが27.5パーセントとトップシェアだったことや、売上高が2009年比で30パーセント増だったことなどを説明した。

 新免社長が目玉となるトピックとして取り上げたのが、2009年と2010年の機器出荷実績におけるエントリークラス製品とミドルクラス以上の製品との比率である。2009年にはエントリークラス製品の割合が全体の半数を超えていたのに対して、2010年は43パーセントと半数以下になり、逆にミドルクラスとハイエンド製品が合計で57パーセントと過半数に達したという。「UTMは『エントリークラス向けのセキュリティ製品』という認識は過去のものになった」(新免社長)。

 同氏はまた、2010年の国内におけるセキュリティ製品の出荷分布についても言及した。現状、UTMは36パーセントほどで、単体のファイアウオールやVPN装置、IPS(侵入防止システム)などを合計すると38パーセントほどになっている。しかし、単体機器からUTMへという流れは止まらないとし、「近い将来、単体機器は分類そのものがなくなるだろう」(同氏)と予測した。