写真●記者会見で質問に答えるレノボのヤン・ユアンチンCEO(最高経営責任者、左から2人目)と、NECの遠藤信博社長(左から3人目)
写真●記者会見で質問に答えるレノボのヤン・ユアンチンCEO(最高経営責任者、左から2人目)と、NECの遠藤信博社長(左から3人目)
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 NECと中国レノボは2011年1月27日、日本国内のパソコン事業合弁に関する記者会見を開いた(関連記事1関連記事2)。会見にはNECの遠藤信博社長、レノボのヤン・ユアンチンCEO(最高経営責任者)ら両社の首脳が登壇した(写真)。

 遠藤社長は「対等の関係」を強調し、相乗効果を発揮して強い地位を確立すると述べた。ユアンチンCEOは「日本市場は世界3位。ここで首位のグループになることで、さらにレノボの販売を拡大できる」と期待を述べた。会見での一問一答は以下の通り。


NECとしては、レノボにPC事業の経営権を移すのか。

NEC遠藤社長(以下、遠藤氏):持ち株会社への出資比率はレノボとNECが51対49。基本的に両社はイコールパートナーである。NECのブランド名も残し、現状の機器のシリーズも残す。

 今回の連携は、お互いの良いところを生かしていくことが基本だ。経営権の観点でどうのこうのというよりも、良いところを生かして顧客に最大限の満足度を提供することが重要と考えている。

NECがレノボの100%傘下になるのか。

遠藤氏:そういう話は一切ない。両社によるシナジーを生かすため、合弁を生かすために、非常によい提携だ。さらにいろいろな観点で、協業できる可能性を探っていきたい。

現状のボリュームでは日本の顧客に十分な貢献ができない

スマートフォン事業も今回の提携に入るのか。

レノボ ヤン・ユアンチンCEO(以下、ヤン氏):両社は様々な分野で協力できる可能性を持っている。今回は、あくまで第一歩である。今後の協業の可能性としては、携帯端末などほかにもあるかもしれないが、まずは今回の合弁を成功させるのが先だ。

今回の提携は、どちらから持ちかけたのか。

遠藤氏:PCの事業は、強いマーケットポテンシャルを築くのが重要。どちらから、というのではなく、自然に持ち上がった話だ。

NECにとってPC事業は「顔」のようなもの。単独で維持しないという選択をしたことで、かえってブランドイメージを落とすことにはならないか。

遠藤氏:失礼ながら、的を射ていない質問ではないか。NECをはじめ、サプライヤーが心がけるべきことは、お客様に最大限の貢献をすることだ。

 これまでNECは日本市場に特化してきた。残念ながら、日本市場におけるビジネスPCのボリュームでは、価格面などで日本のお客様に十分な貢献ができるほどではない。当社だけでPC事業を継続していこうとすると、さらに大きな投資が必要になる。

 そこで良いパートナーを早く見つけるべきと考えた。レノボとNECの開発力、レノボの速いスピードと行動力は、一緒にやっていく上で大きな力になる。最も大きいのはスケールだ。レノボは世界4位のPCメーカーであり、両社が協業することで、NECが法人に提供するPCのコスト競争力向上に貢献できる。

レノボにとって、NECと組むことのメリットは何か。

ヤン氏:日本市場におけるレノボは、シェア6位に甘んじている。今回の提携で両社が作るグループにより、日本でシェアトップに躍り出る。世界3位の規模を持つ日本市場で1位になるわけだ。これには大きな意味がある。レノボにとって、収益性を拡大できる可能性が広がる。

 NECは信頼に足るパートナーだ。大企業、公共セクターに強みを持っており、レノボの販売を拡大できると考えている。

中国などで、PC以外の領域に提携を拡大する可能性は。

遠藤氏:現在の提携範囲は日本国内が主体で、グローバルで協業するのは法人向けPCのみだ。

 しかし、両社の力を合わせることが世界や中国市場に意味がある、我々の製品が受け入れてもらえると確認できれば、レノボとの間で(提携の拡大に向けた)話し合いをする余地はある。これからの議論なので明確なことは言えないが、いろいろな可能性がある。