写真●日本サムスンとRADVISION Japanによる記者発表会の様子
写真●日本サムスンとRADVISION Japanによる記者発表会の様子
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 日本サムスンとRADVISION Japanは2011年1月25日、東京の日本サムスン本社で記者発表会を開催し、両社が共同で開発したH.264/SVC対応の液晶一体型テレビ会議端末「VC240」の機能説明や販売戦略、拠点間での接続デモなどを披露した(写真)。

 VC240は、フルHD(1980×1080ドット)の画面解像度に対応した24型ワイド液晶に、HD対応カメラ、ステレオスピーカー、エコーキャンセル機能付きマイクなどを統合したテレビ会議端末。一つの映像ソースから、受信側が利用可能なネットワーク帯域や端末の再生能力に合わせて再生解像度を選択できる「スケーラブル映像符号化」方式の国際標準規格「H.264/SVC」(SVCはScalable Video Coding)に対応していることが特徴となっている。

 H.264/SVCでは、上記のような再生解像度が複数持てることに加え、パケットロスが多発するような品質が低いネットワーク環境においても映像再生が破綻しにくくなる仕組みを備えている(パケットロス補正機能)。広帯域だが伝送品質の変動が激しいインターネット経由でテレビ会議をする際などに、有効な機能となる。両社によれば、市場に出ているビデオ会議専用の一体型端末で、H.264/SVCに対応した製品は今のところVC240だけとしている。

 VC240自体は2010年に出荷済みの製品だが、RADVISION Japanによると2011年に入ってから二つの機能強化を施したという。一つは、H.239に対応した資料(プレゼンテーション)共有機能を強化し、旧式のH.263を使った映像伝送に対応したこと。もう一つは、ルーターやファイアウォール配下にある場合に必要となるケースがあるNAT(Network Address Translation)越えをサポートする「NATトラバーサル機能」を追加したことだ。

 2地点間接続のテレビ会議システムは、38万円(希望小売価格)のVC240を2台購入すれば構築できる。この場合、相手端末のIPアドレスを直接指定して接続する。3地点間接続以上の場合には、MCU(Media Control Unit)と呼ぶ装置が必要となる。会場では、実際にIPアドレス直接指定による2地点間接続や、MCUを介した3地点間接続などのデモを披露していた。

 販売戦略については、1台38万円という「価格の安さ」と、安定した映像および音声品質を確保できる「専用端末の良さ」を武器として市場シェアの拡大を目指すとした。日本サムスンでは、2010年の国内市場シェアは1%程度だったが、2013年までにこれを15%にまで拡大することを目指すとしている。