総務省は2011年1月21日、2011年度~2013年度の3年間における「電波利用料の見直しに係る料額算定の具体化方針(案)」に対する意見募集の結果を公表した。意見を述べたのは38社・団体だった。

 具体化方針案の中で、例えば放送事業者の電波利用料を1/4に減額するといった措置である「特性係数の適用」は、2011年度からの3年間について維持するとしている。これに対して日本民間放送連盟(民放連)や放送事業者は「妥当な措置であり、賛成する」という意見を述べている。ただし、2010年8月に公表された「次期電波利用料の見直しに関する基本方針」において、特性係数のあり方について中期的に見直しを行うとされていることもあり、「2011年度からの3年間が経過した後も、現行の特性係数と同等の措置が必要不可欠」(民放連)と継続を強く求めている。

 一方で電波利用料総額の7割以上を負担し、その金額が放送事業者の約10倍に上っている携帯電話事業者からは、特性係数の適用を廃止すべきという意見が多くみられた。イー・モバイルは「放送事業者の受益に対して、負担が小さいという指摘は解消できていない。通信も放送も公共性の観点から差はそれほどない」とし、ソフトバンクモバイルも「放送と通信のアンバランスを解消するために、放送帯域に関する特性係数の見直しを実施すべき」と述べている。

 この特性係数については、地デジ移行後の空き周波数を使う場合は適用しない方針になっている。例えば携帯端末向けマルチメディア放送サービスを提供する事業者が支払う電波利用料に対しては適用されない。これに対してマルチメディア放送は、「公共的役割を果たすことを期待されていることもあり、事業開始から一定期間は特性係数に相当する負担軽減措置を求める」としている。その理由は、「デジアナ変換との受信障害に関する対策が求められており、対策費用を計上していること」「特性係数を適用されている地上波放送局と同様に、携帯端末向けマルチメディア放送も基幹放送として法制度化されたこと」を挙げている。

 同じく空き周波数を使うV-Lowマルチメディア放送に関して、TBSラジオ&コミュニケーションズは「総務省のラジオと地域メディアの今後に関する研究会では、V-Low帯ではラジオ事業者が音声優先セグメントでサイマル放送が実施できるという考え方を示している。強い公共的な役割が求められており、電波利用料の軽減措置を適用することが妥当である」という意見を述べた。これに対して総務省は、「V-Low帯を使用する新たな無線システムが導入される場合には、適切な電波利用料を検討、適用する」としており、特性係数が適用されるかどうかはまだ議論の余地があることを示した。

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