日本民間放送連盟(民放連)は2011年1月21日、マスメディア集中排除原則の緩和に関する要望を総務省に提出したと発表した。2010年12月3日に公布された改正放送法に合わせて「放送局に係る表現の自由享有基準」(マスメディア集中排除原則)などの関係省令の制度整備が行われる予定であることから、民放事業者の考え方をあらかじめ示し、制度整備への反映を求めるという趣旨である。

<テレビとラジオで別の基準を>
 要望の骨子は大きく三つある。第1は、マスメディア集中排除原則全般について、テレビとラジオを別の基準とすることである。その上で、地上ラジオ放送については、「大幅な緩和」もしくは「撤廃」を要望した。

 地上ラジオ放送に関連して3点を求めている。第1点が「放送対象地域の重複の有無に関わらず、1事業者による音声放送メディアの複数チャンネル運用を可能にする」ことである。関連して、出資比率規制や役員兼務規制は適用除外にすることを求めている。また、この要望には、V-Lowマルチメディア放送などへの新規メディアに参入できるようにすることも含んでいるという。

 このほか、「認定放送持株会社が子会社としてカウントしうる放送事業者の数え方において、地上ラジオ放送はカウントの対象外とするなど上限を撤廃あるいは大幅に緩和する」「地上ラジオ放送とコミュニティ放送の兼営を可能にする」である。

<出資比率規制と役員兼務規制>
 骨子の第2は出資比率規制であり、地上テレビ放送については同一地域内が現行の「1/10まで議決権保有可能」を「1/5未満まで議決権保有可能」に、異なる地域間が現行の「1/5未満まで議決権保有可能」を「1/3未満まで議決権保有可能」に緩和することを求めている。

 骨子の第3が役員兼務規制であり、地上テレビ放送および衛星放送が現行「1/5まで兼務可能」となっているのを「1/3未満まで兼務可能」に緩和することを求めた。

 こうした項目以外にも、(1)認定放送持株会社が子会社としうる地上放送局数の拡大(現在は12局以下)、(2)地上放送とBS放送の兼営、を今後の検討課題として提示した。さらに、出資比率規制のさらなる緩和(放送対象地域が重複する場合の1/5超、あるいはしない場合の1/3超への緩和)を課題に挙げた。

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