AWS Elastic Beanstalkの管理画面
AWS Elastic Beanstalkの管理画面
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 米アマゾン・ウェブ・サービシズは2011年1月19日(米国時間)、Javaで開発したWebアプリケーションのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)である「AWS Elastic Beanstalk」を開始した。Javaプログラムのファイルをアップロードするだけで、数分後にはアプリケーションが稼働し、その負荷に応じて仮想マシン台数が自動的に増減する。

 AWS Elastic Beanstalkは、ユーザーがアップロードしたJavaプログラムを稼働させるのに必要な仮想マシンやロードバランサー、Webアプリケーションサーバー「Tomcat」、Webサーバー「Apache」などを、ユーザーに代わって同社が設定し、仮想マシン貸しサービスの「Amazon EC2」上に展開するというサービスである。

 同社はAWS Elastic BeanstalkをPaaSであると明言してはいないが、米グーグルの「Google App Engine」や米マイクロソフトの「Windows Azure」、米セールスフォース・ドットコムと米ヴイエムウェアが提携して開始する予定の「VMforce」などに競合するサービスと言える。

 データベース(DB)やストレージとしては、オープンソースの「MySQL」を使ったDBサービス「Amazon RDS」や、同社独自のDBサービス「Amazon SimpleDB」、ストレージサービス「Amazon S3」が利用できる。また、仮想マシン台数の自動増減には、同社のIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)のオプションサービスである「Elastic Load Balancer」や「Auto Scaling」を使用している。

 使用できるプログラミング言語とアプリケーションサーバーは、現時点ではJavaとTomcatの組み合わせだけだが、将来は言語「Ruby」のアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」に対応する予定。また、今回のプレスリリースには、米レッドハットもエンドースメントを寄せており、同社のJavaアプリケーションサーバー「JBoss」も利用可能になる模様だ。

 アマゾン・ウェブ・サービシズは、AWS Elastic Beanstalkが既存のPaaSと異なる点として、ユーザーが各種コンポーネントを制御できることを挙げている。例えば、仮想プロセッサ仕様やメモリー搭載量の変更、仮想マシンへの直接ログオン、仮想マシンのディスク内容の変更が可能。これに対しGoogle App Engineは、仮想マシンを使用しておらず、ユーザーがマシンの構成を変更することはできない。

 AWS Elastic Beanstalkは、Amazon EC2仮想マシンなどインフラ(IaaS部分)の使用料だけで利用でき、特別な課金などは行わない。投入したアプリケーションは、米国東海岸のデータセンターにある仮想マシン上で稼働する。