写真●ブロードコム ジャパンが開催した技術説明会の様子 写真左は高市良治カントリーマネージャー、右は森次達郎シニアフィールドアプリケーションエンジニアリングマネージャー
写真●ブロードコム ジャパンが開催した技術説明会の様子 写真左は高市良治カントリーマネージャー、右は森次達郎シニアフィールドアプリケーションエンジニアリングマネージャー
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 ネットワーク機器向けチップベンダー大手、米ブロードコムの日本法人ブロードコム ジャパンは2011年1月19日、報道機関向けの技術説明会を開催し、「10G-EPON」(IEEE802.3av)に対応したシステムオンチップ(SoC)「BCM55030」を発表した(写真)。IEEE802.3avは、FTTHなど光ファイバを使ったブロードバンドサービスで使われている基盤技術の一つ「EPON」(Ethernet Passive Optical Network)の最新規格である。

 BCM55030は、FTTxサービス(xには「Home」を表すHや「Building」を表すBなどが入る)で使われる加入者宅側の光回線終端装置「ONU」(Optical Network Unit)に搭載される中核チップ。10G-EPONで必要とされる信号処理のほか、LANスイッチや暗号化、QoS(Quality of Service)などの機能を統合している。

 ブロードコム ジャパンによれば、10G-EPONを使ったFTTxサービスは、既に中国において集合住宅向けに提供され始めるなどしており、「国内でも大手通信事業者による検証が始まっている段階」(ブロードコム ジャパンの高市良治カントリーマネージャー)という。ただし、既存の10G-EPON対応ONUは高価なFPGA(Field Programmable Gate Array)を使って製造されており、「(量産可能な)10G-EPON対応チップとしてはBCM55030が世界初」(高市マネージャー)としている。

 BCM55030は現在、社内での評価段階にあり、まもなく大口顧客などに向けてサンプル出荷を始める予定であるという。10ギガFTTxサービスを商業ベースで広く提供するには、ONUだけでなく通信事業者の収容局側に設置する光回線終端装置「OLT」(Optical Line Terminal)向けにも同様なチップが必要となる。同社では、これについても「2011年中にアナウンスできるよう準備を進めている」(ブロードコム ジャパンの森次達郎シニアフィールドアプリケーションエンジニアリングマネージャー)とした。2011年後半から2012年にかけて、国内でも10ギガFTTxサービスが一般向けサービスとして登場するのは確実といえそうだ。