写真●運行ダイヤを示す「COSMOS」のモニター画面(JR東日本提供)
写真●運行ダイヤを示す「COSMOS」のモニター画面(JR東日本提供)
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 JR東日本は2011年1月18日、前日に発生した新幹線の運行トラブル(関連記事1関連記事2関連記事3)について、運行管理システム「COSMOS」が処理容量の限界を超えたことが原因だったと発表した。

 JR東日本によると、17日午前7時過ぎに新白河駅と福島駅でポイント故障が発生。駅と駅との間で列車が止まるのを防ぐため、24本の列車を各駅に停止させるようCOSMOSに指示を出した。この指示を受けて、COSMOSはダイヤ変更を計算するとともに、後続列車についてデータ変更が必要な箇所をチェックした。

 本来であれば、COSMOSはダイヤとデータ変更が必要な箇所を、東京の運行本部にあるパソコンに表示する(写真)。 この表示に基づき、運行本部の司令員がデータを変更する。その変更指示を反映した形で、COSMOSがダイヤ変更を完了させる。

 ところが、17日はこのように作業を進めることができなかった。というのも、COSMOSは1分ごとにデータ変更が必要な箇所のチェック処理を起動しているが、変更が必要な箇所が600件を超えるとダイヤを表示できなくなる仕組みになっていた。この日は短時間に修正指示が集中した結果、変更が必要な箇所が600件を超えた。これにより、東京の運行本部にあるパソコン22台すべてでダイヤ画面の表示が消えた。

 これを受けて17日8時23分、JR東日本は全新幹線を停止させた。東京の運行本部と各駅で、データが整合しているか確認するためだ。その後8時52分にダイヤ変更を完了、9時15分に各駅での列車制御が確実に行われていることを確認した上で、試運転を経て9時38分に全線で運転を再開した。

 JR東日本は今後の再発防止策として、「データ修正が必要な箇所が600件を超えても、予想ダイヤを表示できるようCOSMOSのプログラムを改修することを検討する」としている。

 大畠章宏・国土交通大臣は18日の記者会見で、「徹底して原因究明、内容、再発防止策が妥当か国土交通省として検証し、国民の経済活動や日常生活上迷惑をかけることのないよう、(JR東日本の)指導監督を徹底していきたい」と語った。